夜空のパンケーキ

性別が、ない!インターセックス漫画家のクィアな日々の夜空のパンケーキのレビュー・感想・評価

4.1
観に行かなきゃと思ってるうちに上映最終日だ!ってなりダッシュでアップリンクへ。
そしたら開店前に着いてしまった・・笑

皆さんは「インターセックス」って言葉をご存知ですか?
僕もこの作品を観てちゃんと理解できました。
実は「男」にも「女」でもない「中性」という位置付けです。男性器も女性器もあり「性分化疾患」とも言われます。
なのでLGBTのどこにも属さないので理解されにくいのも現状。

そのインターセックスとして診断された漫画家、新井祥とアシスタントのうさきこうのドキュメンタリー映画。
新井さんの生々しくてコメディタッチの漫画を通じて描かれていくのでわかりやすい。
新井さんは女性だったので男性とも結婚し離婚経験を持つ(その男性とは今は舞台演出を通じての友人)。
うさきこうさんも連載を持ち自分がゲイであるとカミングアウトする。
一緒に暮らす新井さんの立ち位置、葛藤、2人の関係性とかが観ていていろいろ考えさせられた。
「性」の多様性が社会で存在意義を得たが、どんな時代もまたあらたな多様性が現れる。
それに自分がどこまで理解できるかが大切だと感じた。

映画の中で一番響いたのは、ある女性が「性同一性障害」で男性になる手術を受ける際の両親との会話。父親はまだ娘に戻ると信じてならない。
その両親のために成人式の写真だけは残しているがそれ以外はすべて捨てた。
そしてタイで手術を受け役場で「男」と書かれた戸籍を手にして「たった一文字なんですけどね・・」という言葉の重み。

上映後の監督トークショーでは新井さんの「パートナー」としての考え方を追ったドキュメンタリーになったと話していた。
内面を見たい!という監督の意志に共感して撮影許可が出たらしいが、その内面を垣間見る作品だと僕も思った。
もしかしたらこれを観たら少し新井さんの激しい感情に嫌悪感を感じる方もいるかも知れません。
しかしそれこそが監督の描きたかった「内面」の表れなんだろうと思います。
また東京に戻って上映したいと話してられましたので、見逃した方はいつか是非ご覧ください!