ベビーパウダー山崎

アメリカン・バイオレンスのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

アメリカン・バイオレンス(1981年製作の映画)
4.0
グランドキャニオンから始まるアメリカ版より30分長い日本版、殺人と暴力が手加減なしで満足充実。ヤコペッティや『ジャンク』あたりのモンド映画の流れで「日本人は人殺しショック映画が大好きだから、アメリカの残酷で一本作ってよレナード・シュレーダー」みたいな話を日本の製作が金チラつかせながら持ちかけて作らせたんだと適当に邪推する。シェルドン・レナンも編集もこんなのに関わったばかりに鬱になりトラウマ。可哀想ですね。
「週刊マーダーケースブック」開いて「連続殺人紳士録」で補足しながらこの映画を見ると人間の底なしの恐ろしさが更に学べる。集団自殺のジム・ジョーンズ、チャールズ・マンソン、ヒューストンの大量殺人ウェイン・ヘンリー、ジョン・ゲイシー、テッド・バンディの裁判…まだまだ出てくるシリアルキラーの見本市。大トリを飾るエドモンド・ケンパーのインタビューの迫力、これだけでも見る価値がある。これが真理だと言わんばかりに淡々と、人間に化けた悪魔の金言に聞こえてくる。「あきらめた人間、なげやりな人間、弱い人間はチャンスがあれば必ず被害者になる」。
散々地獄を見せてからジョン・レノンの歌で無理やり美しく終わらせているのも最高。胸糞映画とか安い言葉が巷には溢れていますが、俗な覗き見趣味で表現(映画)するならこれぐらいまでヤってほしい。