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オリバー・ストーン オン プーチンのmihoのレビュー・感想・評価

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今どんな映画よりも観てほしい。より多くの人に観てみて欲しいし(インスタでもシェアして、父にも勧めた)何を感じたか、何を考えたか知りたい。他の人のコメント見るのがこんなに興味深い作品はない。
でも、今誰よりも観てほしいのはウラジーミルプーチン氏本人。自分で自分の言葉を受け止めてほしいと思ったシーンが何度もあった。

スノーデン観た後にオリバーストーンがこんなものを撮っていたのか!今がその時でしかない、と速攻観始めた。

ある情報がプロパガンダかどうかって、あらゆる情報が作られ、それが簡単に拡散され、誰でも好きな情報にリーチでき、もはや自動的に情報が選別され目に入ってくるような時代に、少なくとも一国の一般人のわたしには到底確信を持った判断がつかない。世の中の人(一般人を含む)は、どんな根拠を持ってこれはプロパガンダ、これは正しい、と確信して語るのだろうか?

今回のことに限らず何にでも言える。私たちは無意識のうちに特定の情報を信じ込ませられたり、操られたり洗脳されてはいないと本当に言い切れる?
私はロシアも嘘ついてるし、アメリカも嘘ついてると思っている。スノーデンの告発を調べたりしたら尚更。バイデンは息子がウクライナと深い縁があるしね。でも米露に限らず、全ての国が建前と本音を持って、自国の利害と天秤にかけて忖度して、外交してる。それが下手か上手いか、乗せられるか、知らぬ間に嵌められるか。誰でも情報を作れるし欺けるしなりすませるし、罠に落とせる。

知ることも考えることもやめないけれど、確信を持って何かを主張することができない世の中であることがとても苦しい。

一番驚いたのはプーチンが60歳からアイホを始めた事。シンプルに体力ありすぎ笑
彼は頭も体も精神もとことん鍛えてることがわかった、あんなに自制働かせられる人そうそういないんじゃないか。オリバーストーンもギリギリのラインをざくざく切り込んでいて、観てるこっちがヒヤヒヤしたくらい。彼もすごい。それでも淡々と、時には数字も含めて、危ういものはかわしながら理性的に回答するプーチンの姿が印象的。愛国心高く、自国の(もはや自国にとどまらない)歴史を深く理解し、経済状況を俯瞰してテコ入れし…自分の頭で考えて語り行動するところは評価できると思った。そして特定の人についての批判はない。自国の政治家もアメリカの政治家もかなりフラットに俯瞰して分析してる。過去の歴史から学んでることも多い。法学部らしい。ただでさえ同調圧力が強い日本、アメリカにおんぶに抱っこ。彼みたいな政治家日本にいるだろうか。

本当にいろんなこと考えてしまう。彼が全て計算尽くしてこの侵攻をしているなら、どんなエンディングを想定してた?今の状況も全てケーススタディしていたらこの状況をどう感じてる?どう終わらせる?誰が彼に停戦を説得できる?
こんなことも考えた。私たちはアメリカの完全な属国でしかなく、ロシア側の主張は欧米の意図を含んでほとんどねじ曲がって届いてるとしたら?仮に正しいことを主張してても常に嘘つきで悪者にされて、今や悪魔やヒトラー呼ばわりで暗殺まで支持する人がいる中何を考えている?
歴代アメリカの大統領が微笑んでる姿はニュースにも見るけどプーチンのそれは記憶にない。この作品の中で、彼が微笑んでる姿を初めてみた。

白夜のサンクトペテルブルクは本当に美しい。わたしは生きているうちにまたロシアにもウクライナにも行きたいよ。そんな日が1日も早く来ることを願って。
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