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ナイフ・プラス・ハートのsymaxのレビュー・感想・評価

ナイフ・プラス・ハート(2018年製作の映画)
3.0
1979年、三流ゲイポルノ映画の製作兼監督でレズビアンのアンは、彼女の映画の編集を担当する最愛のルイスとの愛を失おうとしていました。

アンの想いは、激しく狂信的で、ルイスはアンを愛していながらも、その愛に応えられない自分がいたのです。

アンはルイスが自分から離れていかないよう、次々と野心的でユニークではあるものの、くだらないゲイポルノを量産していきます。

一方、アンの映画に出演していたポルノ男優達が仮面の殺人者に次々と残忍な方法で殺される事件が頻発し、やがて、仮面の殺人者の魔の手がアンに迫るのです…

ゲイコミュニティーというアンダーグラウンドな世界に焦点を当てた恋愛映画であり、毎回残忍な殺され方をするスプラッターでもあり、謎解きのスリラーでもあり…ちょっと一言では表現できませんが、アルジェントとデ・パルマとパゾリーニとエド・ウッドを足して2で割ったような…

ヴァネッサ・パラディのあんなに可愛いかったのに、酒焼けで場末のバーのママみたいになった声と"すきっ歯"がかなりヤサグレ感が出ていてちょっと好きかも?

ヤン・ゴンザレス監督については、全く知らなかったので、Google先生に聞いてみますと、フランスの若手監督の中では独特の美学を持っている方だそうで、今作は2018年のカンヌ映画祭のコンペ部門に出品されています。

流石"愛の国"フランス…懐が深い…

監督さんは、ポルノ映画史も勉強されていた方だそうで、だから舞台設定が1979年な部分もあるとは思いますが、当時は今ほどLGBTQが大っぴらに語られる事は少なく、社会からはみ出した存在だったと言えますので、学生映画レベル以下の素人臭ぷんぷんのゲイポルノと相まって、当時のゲイコミュニティーの淫靡な世界をサイケデリックな色調とカメラワークで描く手法は、まぁ、確かに独特のセンスは感じますが、"ゲテモノ感"と紙一重のギリギリのようで、かなり観る人を選ぶ作品ではあります。

単なるゲテモノ映画ではなく、監督なりの美学とのバランス感覚が後々、カルトムービー に大化けしそうな予感はします。

ハマる人はハマる世界観なのでは…

しかし、ポルノ映画の題名は、いちいちツボ…"怒りのアナル"改め"ゲイ殺し"は、ちょっとフルバージョン見たいかも?
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