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初恋~お父さん、チビがいなくなりましたのかずシネマのレビュー・感想・評価

3.0
熟年離婚を考えている奥さんと、そんな事とは思ってもみない旦那さん。
そんな時に猫がいなくなった。
……という話のとっかかり。
倍賞千恵子、藤竜也、市川実日子、小市慢太郎、西田尚美という布陣がまずいい具合に渋いとこついて来てる。
この作品の原作漫画は未読だが、何かのサイトを見ている時によく広告バナーが表示されていたなぁ。

「男はつらいよ」の割と初期の頃の作品を観た後にこの作品を続けて観たもんだから、失礼ながら、さくら…すっかり歳をとったなぁと思ってしまったんだが、倍賞千恵子は声が変わらないんだね。
落ち着いた綺麗な声。
オーバーサイズのパーカーを着てるシーンが可愛らしかった。

チビの出番はとても少ないんだが、「チビー!」と声をかけた時に「なー」と返事した場面がめちゃ可愛い。
猫って返事してくれるんだよね。

冬ソナっぽいBGMが流れた場面がまさかのおふざけだったので、ガフッとかいう変な声が出たわwww

旦那さんの描写の仕方はこの年代の男性や「旦那様」のステレオタイプやなーと思う。
コートをその辺に投げ置くのも、小言や少し意地悪な事を言うしか妻とのコミュニケーション手段を知らないのも、チビに嫉妬しているのも。
よくあるキャラという枠に当てはまり過ぎていて、ちょっと疲れるなぁ…。
まぁでも実際に熟年離婚になる場合は、小さな事が積もり積もってその人への愛情がマイナスになるってパターンが多い気がする。
最初は愛情のタンクが満タンだから減っていっても大丈夫だが、年数を重ねる毎にタンクが空になり注げる愛情が無くなる。
自分の知っている人のパターンもそれだった。
只、このご夫婦の場合はこの描写だけが離婚したいと思わせた原因ではないんだけどな。

過去のエピソードと今が繋がるのが良かった。
あと、急に場所が分からなくなる描写は見ているだけでも怖かった。
あんなの本人はそりゃもっと怖いし、不安だったろう…。
それと思ったのは、すぐ行ける距離に娘が独り暮らししているってのはこういう時には良い事なのかもね。

いつも同じだと言う、それがイイんだと言うお弁当が美味しそうだったなぁ。

なんでか、少し長さを感じた。
テンポ自体は特別に悪い訳では無かったと思うのに。
最初にキャストの事について触れたが、市川実日子を除いた兄妹2人は作中では機能してなかったと思う。カットしても良かったのでは。
出番の少なかった、そしてタイトルにもなっているチビも鎹としては機能していなかった。
あと、子猫が出てくるシーンで野良アメショーがいてたまるかwと思った。
子猫はとてもとても可愛かったし、お二人が子猫を愛でている様子は尊かったけれどね。
EDが謎に往年の邦画風だったのも??だった。
悪くはないけれど、良くもない、という作品だと感じた。
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