ジョジー

最後のランナーのジョジーのレビュー・感想・評価

最後のランナー(2016年製作の映画)
3.8
アカデミー作品・脚本・作曲・衣装デザイン賞を受賞した名作『炎のランナー』で描かれた人物エリック・リデルのその後の物語。
オリンピックで金メダルを獲得しても、驕ることなく自分以外の誰かのために生きた方という印象が、この映画を観てまた一段と深まりました。妻や子どもたちと幸せに暮らせたかもしれないのにと、私なんかは思ってしまいます。
生まれ故郷である天津で布教活動を続けるリデル。太平洋戦争が勃発し、日本軍の捕虜となり虐げられるシーンは、いくら戦時下とは言え、同じ日本人として観てるのが辛かったです。中には少しの温情を見せる者もいるんですけど…
捕虜となっても収容所で皆と走ることで希望を与えているリデル。信仰だけではない生まれながらの人格者だったのでしょうね。中国人青年ジ・ニウは、そんな彼の高潔なところを尊敬し、両親を失った幼い少年シャオシートウとともに、彼を助けようとするのですが…
タイトルにランナーとある通り、リデルはこの物語の中で日本人の少佐とレースをしています。1度目は相手の望み通り選択の余地はなく。そして2度目は同じ捕虜の仲間にどうしても薬を調達したいという思いから、自ら再戦を申し出るのですが、少佐が提案した日は日曜日で。
病に侵されながら、仲間の祈りとともに走り切るシーンは胸がいっぱいになりました。でも、そのレースの先には思いがけない過酷な試練が待っていて…
子どもたちに勉強を教えるリデルの姿は生き生きと描かれていますが、開戦後は辛いシーンが多かったです。ジ・ニウが語るエリック・リデルはきっとそのままの人物だったんでしょうね。彼の様な自己犠牲の精神で行動することは無理だけど、こんな自分でも少しは人のためになることできないかしらとはちょっぴり思ったりして。ジョセフ・ファインズの好演も良かったです。
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