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天国でまた会おうのRIOのレビュー・感想・評価

天国でまた会おう(2017年製作の映画)
3.9
第1次世界大戦の西部戦線で生き埋めにあったアルベールは同じ塹壕にいたエドゥアールによって命を救われる

少しだけネタバレです

2人はパリに戻っても冷たい世間の中で仕事を探すその姿に「They Shall Not Grow Old」でもイギリスで帰還兵への冷遇に驚いた記憶が甦る

家族に会いたくないと泣くエドゥアールのためにアルベールは彼の戦死を偽装することに
爆撃で顔の半分を失ったエドゥアールが傷だらけの顔を隠すために作った仮面
新たな顔または命を得たように戦争で受けた傷を癒していく

人生を巻き返すためにひと儲けして旅立つ夢
国家への復讐とも窺える計画に監督や原作者の反骨精神が剥き出しです

アルベール・デュポンテル監督は俳優として「アレックス」にも出演してたらしいけど何処にいたか分からない 失礼っ

エドゥアールの描く絵はエゴン・シーレのデッサンがモチーフ
衣装はジャン・コクトーが着ていた服がモデルだそうで見ていて楽しいです

ギレルモ・デル・トロのモンスターな幻想的なのも要素として濃く
戦争で受けた傷の深さを奏でるような音楽も悲しげでこの曖昧さが世界観を作ってました

原作のピエール・ルメートルの小説「天国でまた会おう」は映像化は不可能といわれた壮大な物語とあって観た後の余韻は大きい
監督も自分には到底できない これは夢だ!もう忘れようと諦めていた
原作者のルメートルも脚本に参加することで更に素晴らしい作品に

アルベールと憲兵隊とのやり取りやエドゥアールと父親との再会など分かっているけどジンッとくる

「戦争というのは権力者が貧しい者に殺し合いをさせること。いつの時代もエドゥアールやアルベールのような弱い人間が犠牲になり富や地位のある者が幅をきかせるんです。ここで描かれていることは、現代も変わりません。ある意味で風刺画みたいな作品だと思いました」と監督は語ってました*抜粋
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