ねるねるねるね

パニック・イン・スタジアムのねるねるねるねのレビュー・感想・評価

5.0
70年代の作品でありながら、非常にテンポ良く物語が進み、2時間弱の長さを感じさせない作品だった。日本テレビ版の90分ほどの吹替音声が使用されるバージョンで観たため、部分部分言語音声に切り替わるという“いつもの”仕様であったものの、上述の理由故にあまり気にならなかった。個人的に、アカデミー賞は懐疑的な見方をしているが、本作が同賞で編集賞にノミネートされただけのことはあると思った(同年の受賞は『ロッキー』)。ボグダノヴィッチの『殺人者はライフルを持っている!』と並び、狙撃銃による殺人を描いた傑作と言えよう。


【以降、終盤に関する話】





終盤、事件解決はしたものの、S.W.A.T隊長であるクリスが「犯人のことはいずれテレビが明らかにしてくれる。警察への非難も併せて」という旨の発言をするが、作中の事件の対応で警察が非難されるのは至極当然だと思える。犯人もかなり際どい位置にいたため、簡単に手は出せなかったであろうが、スタジアムの入り前に既に民間人を殺害、さらにはスタジアム内で保安主任を高所から突き落としまでしたので、これでいて警察が犯行抑止に動けなかったのは首を傾げざるを得ない(これはストーリー構成の指摘や批判をしたいのではなく、現実の警察そのものに対しても投げかけたい個人的な疑問である)。