カラーで派手ではあるのに、年齢のいったマリリン・モンローが世間から想像されているイメージのキャラクターを必死になって演じているように感じられて痛々しい。そのせいかあるいは共演者のイヴ・モンタンとラブラブだったせいか(これが原因でイヴの奥さんのシモーヌ・シニョレは自殺しようとしたとか)、身分を隠した金持ちと売れない役者のラブコメドラマがどことなく煮えきらず面白さが今一つ伝わってこない。ミュージカルパートも楽しいは楽しいけれど、黄金時代の華々しさは失われて俗な歌詞と上手いだけの歌だけが響いてくるので少し安っぽい。
冒頭のイヴ演じる金持ち一族の歴史を語るテンポのよさをはじめ軽快なジョージ・キューカーの演出は見事、でも二時間という時間はやはり長すぎたのか途中中弛みしていた。
マリリン・モンローは出演時の半分くらい売れない女優のイメージを強調するためかレオタードにタイツというあられもない姿で登場している、でもセクシーと言うより必死に露出しているような印象を受ける。
あれだけ金持ち設定を隠して役者としてマリリンと接してきたのに、後半ライバルの登場などでピンチになると自分の出自を生かして財力で彼女を寵絡しようとするのが卑怯すぎて唖然。そして「やっぱり金を持っている奴が一番でした」と言わんばかりのラストに戦慄(若干オーバーではあるが)。
ジーン・ケリーやビング・クロスビー出演パートは結構面白かった、そしてイヴ・モンタンとケリーのコントみたいなやりとりが笑える。