Sinamon

タロウのバカのSinamonのレビュー・感想・評価

タロウのバカ(2019年製作の映画)
3.5
生まれてから一度も学校に行ったことがなく戸籍もない少年タロウ(YOSHI)は、高校生エージ(菅田将暉)、スギオ(仲野太賀)と出会い、エージとスギオは、タロウと一緒にいるときはなぜか心が安らぐのだが、ある日、偶然一丁の拳銃を手に入れた三人は、目を背けていた現実と向き合うことになるストーリーです。

一般社会からはじきだされた3人の少年が淡々と描かれてあって胸が苦しくなる映画でした。

主人公のタロウは戸籍すらなく学校にも通ったことがないので、「好きって何?」「生きるって何?」「死ぬって何?」「祈るって何?」どれも分からずエージとスギオに教えてもらっていく姿に「ネグレクト」「育児放棄」「反社会勢力の存在」「格差社会」等、日本の現代社会が抱える社会問題が詰め込まれている映画でした。

知的障碍者の方々を最初や色々なシーンで登場させた意味は大森立嗣監督から「社会的弱者の排除」はしてはいけないというメッセージとして受け取る事なのかなと思い色々な事を考えさせられる映画でした。

ある日三人は一丁の銃を手に入れた事がきっかけでそれまで目を背けていた過酷な現実と向き合うことを余儀なくされてしまいます。

彼らの遊びは、この日を境に狂っていき狂気的な遊びに魅せられてしまった三人の姿がとても悲しかったです💧
銃をもった事によりここまで人間は変わってしまうのかと恐ろしくなりました😰

人生は変われるのは一度きりで、もう二度と戻れない事を観ている側に考えてほしいと問いかけられている様な気持ちになり絶望が襲ってくるような感覚になりました。

何度もタロウが口にする台詞があるのですが「好きって何?」と言う台詞で学校に行った事のないタロウにとってエージ、スギオから学ぶ事が沢山あってラスト、タロウはその意味を知ります。

ラスト、タロウが叫び続ける画面を観てただただ呆然と眺めてしまい、この映画の奥深さを知りました。

タロウ役は俳優、モデル、ミュージシャンと幅広いジャンルで活躍するYOSHIさんの初めての主演映画でこの難しい役を見事に演じらていました。

菅田将暉さん、中野太賀さんは高校生役に無理があるのでは?と思っていたのですが、ちゃんとハマっていました。

菅田将暉さん、ラブストーリー役も良いなぁと思うのですが、この映画のように狂気に満ちたどこか近寄りがたいバイオレンス役が似合っているなぁと思いました。

中野太賀さんはこの2人から距離を取りたいと思いながら取れないひ弱な役を見事に演じていました👏
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