テリー微糖

青の帰り道のテリー微糖のネタバレレビュー・内容・結末

青の帰り道(2018年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

わりと宣伝も大きくされていない
作品なのですが

見逃し厳禁の作品だと思います

「物語に関しては」
ほぼ傑作の領域だと思います

地元でのうのうと暮らしていた
学生が上京したりして
まがりなりにも
自分の夢を持って
キラキラとした笑顔で
生活してたのに

オトナになってから夢見ていた
「自己表現による自己実現」は
オトナの世界では蜃気楼のような
幻想でしかなくて

「他者に利用されないと
自己実現はできない」という
オトナの世界の漆黒の絶望が
モロに幼さの残る精神の急所に
クリティカルヒットしてしまった

そんな若者の顔から
だんだんと生気が奪われる様を
容赦なく見せつけられる

かなりハードでダークで
オトナ社会の暴力装置的な側面が
炸裂している点では
かなりバイオレンスな側面のある
映画でした

途中から
「桐島、部活やめるってよ」を
想起させる手法が出てくるのも好み!

ラストも、ちょっと
「桐島〜」っぽさがある気もする…

ここまでなら
文句無しの★5つなのですが…

映画の物語を考えるうえで
看過できない大きな問題点が
見受けられたために
点数をかなり下げました

その問題というのは…
「冒頭のライブハウスでのライブシーン」
でのことです

歌っている加奈(真野恵里菜さん)の
口の動きと流れてくる歌詞のタイミング
(リップシンク)が明らかに
ズレてしまっています…
(4,5フレーム分ぐらい、音が遅い?)

加奈という人物の歌の上手さを
映画のなかで大々的に披露して
今後の展開の前フリとして
機能させたい重要なシーンで

歌っている姿が不自然に映るのは
作品を絶賛している私でも
弁護のしようがないレベルで
制作側の落ち度は大きいかなと…

はっきり言って致命的だと思います

撮影時までに曲の音源が出来ていなくて
音出しをせずに撮影をしたか
撮影時の録音にミスがあったのか
どちらかが原因かな…?

ライブシーンでヒキ画シーンを
多用している感じを観ると
映像の編集段階で
発覚したのでしょうか?

どちらにしろ、音の編集をする
ダビングステージで
何かしらの対処は出来たと思います…

その部分を考慮して
評価値を下げましたが
この作品が隠れた名作であることには
変わりありませんので

劇場でかかってるうちに
鑑賞なさることをおススメします!
テリー微糖

テリー微糖