ゑゐがみるを

魂のゆくえのゑゐがみるをのレビュー・感想・評価

魂のゆくえ(2017年製作の映画)
3.5
ジリジリとトラー牧師の魂が削られて行き、ついには自殺を図るのだが、最後、アマンダセイフライド演じるメアリーの存在に救われる、と言った感じのラスト。しかし、メアリーがあの部屋に入ることはできないので、トラーの魂は現世にはない。
トラーが死ぬ前に見た、メアリーと抱き合い、キスを交わし、コーラスが流れるあの情景は、愛によってトラーが救われたことを表すのだろう。

途中までタクシードライバー的展開かと思ったけど、一捻り、ふた捻りしていく予想だにしないラストだった。現代版にリメイクされたタクシードライバーのような。

タクシードライバーでは、何故かトラヴィスが少女を救った英雄として終わりを迎えるが、魂のゆくえではどうだろうか。今作はその後が描かれないため、ちょっと考えてみる。
トラーの死体を発見後、誰かが彼の日記を見つける。その日記により、企業と教会の関係が暴かれ、何かしらの議論にまで発展するのか。それとも、日記は誰かに破棄され、日記の存在を誰にも知られることはないのか。
いずれにしても映画の中では何の結論も出ないし、変わっていくのはトラー牧師の心と体の変化のみで、他はほとんど変わっていない。
向かっていく方向が、トラヴィスが外側だとしたらトラーは内へ内へ。
見ていて辛かった且つ、最も素晴らしかったのはラスト近くの覚悟を決めてから、メアリー存在を思い出した後の揺らぎ。「トラヴィスはやった、でも僕には出来ないよ〜」みたいな狼狽えるあの感じ。

今年のベスト男優は魂のゆくえのイーサン・ホークで決定!
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