暴言の交わし合い、過剰なバイオレンス、緊迫した空気、予想外の展開、これぞ狐狼の血。
柚月裕子原作の小説「狐狼の血」で、2018年に白石和彌監督が映画化。今作は完全なるオリジナルストーリーの続編となる。
話・・・
広島仁正会の五十子会会長を尾谷組組長に殺害させると共に、組長を逮捕することで抗争を抑えた前作から3年後の物語。
大上を失った日岡の根回しによって、広島仁正会と尾谷組は手打ちを結んでいたが、五十子会会長の右腕の上林がついに出所。
最強の悪、上林が広島仁正会に戻ると同時に再び抗争が始まろうとする。
前作のキャストは一部継続しているが、前作で殺されたり、捕まったりでヤクザ側はほとんどが入れ替わっている。吉田鋼太郎や宇梶剛士、寺島進とこちらもヤクザ映画には常連のキャストに加え、圧倒的悪を演じる鈴木亮平には驚かされた。
鈴木亮平といえば、最近大河ドラマの西郷どんで太ったり、変態仮面ではムキムキの変態役、TOKYOMERではまっすぐなドクターなど、役に応じて体型を大きく帰るなど、まさにカメレオン俳優である。
前作の役所広司演じる大上のインパクトは圧倒的であり、それを超えることはできないと予想していた。しかし、今回現れる最強の悪、上林は想像を超える悪でそれは前作の衝撃と同じ、いやそれ以上の迫力であったと思う。鈴木亮平恐るべし。。。。
前作は大上（役所広司）と日岡（松岡桃李）のタッグ映画であったが、今作は日岡と上林（鈴木亮平）のタッグ映画のようだった。
大上の後継として広島の治安を守ろうする日岡。一方、おえ五十子会長の復讐、自分の意思に嘘をつかず全てを壊そうとする上林。
真逆の思想を持ちながら、それぞれの正義を信じ、貫くためにはなんでもする二人の物語。
相反するように見えて、お互いに信頼する相手失った人、同じ相手を弟のように大切にしていたりと、どこか共通点が多い存在とように見えた。
そして、撮影するのに3日間かかったと言う後半のアクションシーン。ここで二人は戦い、お互いに認識しあうことで、共鳴しているように見えた凄いシーンだった。
そして、注目して欲しいのは結果守るために全てを壊したのは誰なのか。
その他、前作に続く日岡の上司嵯峨（滝藤賢一）とのやりとりなど、魅力的なシーンは多く、とくに今回新しくコンビを組むことになった瀬島（中村梅雀）とのやりとりは集中してみることをお勧めしたい。
ちょっと気になったのは上林が最悪過ぎる結果、組織内や尾谷組の存在感が少し薄れてしまったところや、大上の後継者として少し田岡が人間愛みたいなところが個人的には少し物足りなさを感じた。
しかし、それを踏まえてた上でも、かなり面白かった。去年コロナ禍の状況で撮影したと言う信じられない努力も合わせて、本当Level2が完成し、みることができてよかった。
暴言の交わし合い、過剰なバイオレンス、緊迫した空気、予想外の展開、これぞ狐狼の血。
「日本には狼はおらんくなった。
狼は凶暴になり過ぎて、手に負えんようになったから、人間が根絶やししてもうた。
強うなり過ぎるんも考えものだ。」
この言葉に対するラストシーンが好きだった。できれば、いつか続編Level3を期待したい。
あ、グロいの苦手な方はお勧めしません。
