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search/サーチのyのレビュー・感想・評価

search/サーチ(2018年製作の映画)
3.9
かつて家族共用PCとして使っていたのがWindowsで(起動音が良い)、個人用PCとしてMacを使っていることが暗に示す時代の流れ。Mac製品のインターフェースに馴染みがあるとより面白いと思う。
理解しているようでしていなかった娘のことを、事件を通して次第に知っていく父親の主人公像が、「渇き。」で役所広司が演じた男に重なった。母親の不在が創り出した2人の距離感(文字による本心に欠けた会話)と友情の脆さ(Facebookにおける友達という概念)、そしてSNSの軽薄さやLive配信の危険性といい、随所でスマートデバイス普及に伴う現代社会の風刺に富んでいる巧さ、作品の形式ともマッチしていた。
PC上で全てを完結することを前提としており、FaceTimeが必要無いシーンで起動されていたり、推理における重要な箇所のシーンが抜けていたりと気になるところもあるが、全体的に見てとてもよく出来ていて、面白かった。テクノロジーの進歩によって人間から「運動(≒不便さ)」が奪われ、殊芸術としての映画は衰退を迎えていくのかと思っていたが、時代によって常に映画は巧みにその姿を変えながら、少なくとも、より新しい娯楽へと進化を遂げるのだろうと思った。
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