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真実のyukinchiのレビュー・感想・評価

真実(2019年製作の映画)
3.7
実は、『万引き家族』未鑑賞の小生。
他はね、結構観てるんですけどもね、是枝監督。

やはり“家族”なくして、彼の作品は語れませんよね。
憧れのフランスが舞台で、ビノシュやイーサン目的だったなんて、安易な動機は言いっこなしです(笑)。


あの、仄青い空気感が大好きなんですよ。
シャンソンもいいし。
日本とはまた異なる趣の紅葉。今の時季にぴったりでした。


樹木希林さんとは、対極に思えるカトリーヌ・ドヌーヴ。
セクハラ問題でハリウッドの女たちが息巻いていた時も、「そんなことでいちいち目くじら立てるのは、セクシーじゃないわよねぇ。野暮野暮」(意訳)
とかなんとか、フランス女の奔放なイメージを牽引なさっている大御所ですよ。

御歳74ぐらいですね。
正直、スクリーンに耐え得るのか半信半疑でしたが。
いまだにお美しい。
ひょっとすると、娘役のビノシュより皺が少ないのでは?と穿ちたくなる美貌でした。

錆びゆく役者を体現するという意味で、先に鑑賞した『~ハリウッド』のディカプリオとも比べつつ。
まさに魔女そのもののドヌーヴに、軍配です。


美しさって、歳を重ねるほど希少価値が増すもんだと再認識。年輪まで美に昇華できるか否かは、内面によるものでしょうけど。
パジャマに瀟洒なシルクのガウン羽織って、庭を歩く姿も素敵でした。


内容はほんと、ドヌーヴの自叙伝ちっくなんですが。
取り巻く役者たちが自然体で、それぞれに葛藤を抱えながら関わり合っていく様に、シンパシーを覚えました。

是枝作品には不甲斐ない男性が欠かせませんが、イーサンもまた立ち枯れた風体で。
嫌いじゃないですね、ハイ(笑)。


じいちゃん子だった小生は、孫娘とピエールのやり取りに胸アツ(;ω;)


同じく母娘モノの『ボルベール』に感動した時は、ランチしながら母にあらすじを話して聞かせたものでしたが。
今はそれも叶わず。



“真実”とは。

大切な人にほど、なかなか伝えられなかったりするものだけど。
叶わなくなる前に、伝えておくべきこと。

かしらね。
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