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町田くんの世界のaのレビュー・感想・評価

町田くんの世界(2019年製作の映画)
4.8
悪意に満ちた(と、ほとんどの人が思っている)この世界で、町田くんは誰にでも分け隔てなく接し、全ての者に平等な優しさを与えている。
変わり者と呼ばれようとも、この世界を悪意で満たしている一員にも臆することなく立ち向かっていく。

しかし、誰から見ても優しい人間である町田くんは、決して自分のことを素晴らしい人間だとは思っていない。町田くんにとって、人のために何かをすることはごく自然なことで、とても真っ直ぐに生きている。

人は誰しも不満や悩み、人に言えない感情を抱えているものである。町田くんはそんな人だとの心をあっというまに開かせてしまう、魔法使いみたいな人だ。

人に与えた優しさは、必ずしも自分に返ってくるものではない。見返りを求めずに人に何かを与え続けるのは簡単ではない。でも、返ってくる優しさもある。
そんな、見逃してしまいがちな小さな優しさを町田くんは教えてくれる。そして、返ってきた幸せは町田くんに、胸に疼く感情の答えを教えてくれる。

みんなが町田くんの世界の中に入れるなら、どれだけの優しさが溢れるのだろうか。

確かにこの世界は悪意に満ちているかもしれない。でも、町田くんが見えている世界をこの映画で少し覗き見できたならば、もっと、いろんな幸せなことが見えてくるだろう。
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