ゆうひ

ザ・ゴールドフィンチのゆうひのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ゴールドフィンチ(2019年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

「IT」リブート版でハマったフィンくん(少年時代のボリス)目当てで鑑賞。

いくつもの奇跡が重なり現代まで受け継がれた芸術作品への想いや、主人公たちの人生に対する感受性に、過去に類を見ないほど共感した。

才能を持ちながら解き放つことのできない環境に繋がれたテオやピッパは、絵の中のゴシキヒワのようだった。
その閉塞感と絶望を激しく表現せず、音楽だけがそこに寄り添っていたことで、逆にリアリティを感じた。

鑑賞することの出来ない絵画や曲は、向き合うことの出来ない過去を表していたと思う。大切だからこそ閉じ込めたままにしたいことってある。

しかし鑑賞せずともずっとそこにあったはずの包みの中が実は失くなっていたと知り、テオは始めてがむしゃらに向き合うことになる。母が一番好きだと言った絵、その思い出は、テオにとってはやっぱり誰にも奪われたくないものだった。でも結果的にはテオにとって良かったと思う。更なる喪失のショックに背中を押されでもしないと、向き合えない過去だったのだろう。

テオの母はトマトの萎れた葉を「画家からの秘密のメッセージ」と言っていた。
テオの心を救うメッセージは、テオがずっと閉じ込めていた絵画にあったし、絵画に向き合うことそのものがテオを救うことでもあったと思う。

絵が母の愛と死に向き合う手がかりだと無意識的にわかっていたからこそこだわっていたんだろうのに、テオは一度も見ることなく暗闇に閉じ込めていた。
絵画ファンの人々にとってはもちろんのこと、テオの人生にとっても、絵を光の下に出して鑑賞することが大切だった。鎖に繋がれたゴシキヒワを逃がしてやらねばならなかった。

ボリスの最後の話は、実に含蓄に富んだものだった。
要するに「塞翁が馬」だが、単なる運ではなく、彼らが傷つきもがき間違えながら必死に生きたからこそ、何層もの厚みを持って実感となるものだと思う。

一方、テオの結婚とピッパの人生は、包みを開けないことを選択したようだった。二度と返ってこない宝物を前に、あえて「中にもうない」ということを暴く必要がない場合もある。彼女たちが失ったものは、アムステルダムに行っても取り返せない。そのことを彼女たちは語っていたように思う。

キャスト。
ニコール・キッドマンが美しすぎて感動した。
と思ったらテオの母も美しすぎて一生見惚れた。
ザンドラでざまぁと思ったけどそれでも相当セクシー。
テオは母ガチャの頂点を極めし勝ち組。
テオ自身もびっくりするくらい美しくなってて画面が芸術。
ただピッパとの最後のシーンは誰?状態。影って怖い。テオも光の下に出してやらないといけなかった。
フィンくん美しすぎ。美しく育ちすぎて、自分で戸惑ったりしないのかな?完全にけしからん。
ゆうひ

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