小小野

レイチェル: 黒人と名乗った女性の小小野のレビュー・感想・評価

3.5
SNSやメディアではロクな議論がされてなかったと感じた。

彼女が黒人と名乗りたがっていることに対して白人である証拠を並べ立ててお前は白人だということに何の意味があるのか

問題は明らかに白人のルーツを持つ人間が、黒人を名乗る事実に対して社会はどう対応するのか。どの点においてはアイデンティティとして受容して、どの点からは社会が作り上げた人種という概念の枠を重要視するかという話をすべきだと思う。

日本に生まれて人種の差別とは無縁に育った自分には黒人社会がレイチェルに対してどんな嫌悪感を持っているのか理解するのが難しいが、昔と違いハーフやハーフのハーフなど人種を問わず血が混ざることが増え、血統的な人種の差というのがゼロヒャク、マルバツ的な考え方では到底理解できない場合がある。
たしかにレイチェルは血統の面で黒人のルーツがない点においてかなり極論的な存在だけど、人種とは何か考える良いきっかけだと思った。
少なくとも、黒人白人の人種問題の蚊帳の外にいる自分からしたら彼女に対して攻撃的になる理由はないと思った。

彼女の描く絵は人種の定義以上に彼女の本質的な要素で、素晴らしかった。

このドキュメンタリーに出てきたSNSのコメントやニュースキャスターの質問などの的外れ具合や、攻撃性に嫌気が差した。

社会の雰囲気というものもあるからレイチェルの無神経さ?的なものもあるし、火に油を注ぐような行為もあるけど、彼女を全面否定できるほど成熟した人種観を社会が持っているとは思えない。のに正義ぶるから社会としての過ちが生まれると思う。
小小野

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