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メン・イン・ブラック:インターナショナルのJIZEのレビュー・感想・評価

3.6
真っ黒なスーツにサングラス姿で早変わりする大型のスペースガンを使ってエイリアンの犯罪を取り締まるエージェント"MIB"の新たな活躍を描いたシリーズ第四弾‼︎まずコレ主演二人が『マイティ・ソー バトルロイヤル(2017年)』からの抜擢で、座組み映画ならではの落ち所がメインの活劇宇宙アクションよりユーモラスに描かれ魅せかたが愛嬌たっぷりで惹かれた。まず冒頭の聴き慣れた音楽と共に細字のタイトルロールの書体から軽妙洒脱でアップテンポな作品の馴染みの雰囲気に直ぐ様没入する。またオリジン版にて名コンビのウィル・スミス&トミー・リー・ジョーンズの凹凸コンビが務めた、過去三部作の前作『メン・イン・ブラック3(2012年)』を経た約7年ぶりの続編。おもにこれまでに築きあげた旧版のコンセプトは踏襲しつつもガジェットの振り幅や腐敗したロンドン支部の実態、ドタバタ活劇の絶妙な作風など世界観の拡張が濃い続編に思う。また舞台立てがNYからロンドンないしフランスやモロッコなど世界各地へ広範囲に展開されるのも新たな魅力に感じた。端的に良い意味でも悪い意味でカラッとした軽快な質感で脚本とキャラ掘りの薄さを痛感する点も大いにある。悪く言えばシナリオにテンプレ的な既視感がある。観た記憶のニューラライズをお願いしたいぐらい驚き要素がほぼなかったのは落ち度に思えました。ゆいいつロンドン支部の長を演じたリーアム・ニーソンの役柄の当てかたは、作品の円環構造と呼応していてそう来たか〜と唸る部分でした。また場面ごとに奥行きを感じさせる画角の映しかたもうまくて冒頭と終盤でほぼ同じ画角で二回登場する時計塔?の付近の遠近法を用いたようなゆとりのある撮り方は映画ならではの魅力に感じた。

→総評(約22年を経て招集した新コンビの誕生譚)。
総じてオリジン版の精神を受け継ぐ"MIBらしさ"は頑張ってたように思う。ただ脚本の既視感ないし大盛り上がりする箇所も同様に少なかった。特にクリス・ヘムズワース演じるエージェントHの軽妙な立ち回りと軽口叩いて周囲を巻き込む感じは、現代風ならではのアレンジではないか。また"クリヘム=ソー"の既存概念を揶揄させた爆笑できる一幕であったり、デカい図体を活かした大味アクションがそのままキャラに還元されてるのは美点だった。逆に言えばテッサ・トンプソン演じるエージェントMの仕事以外では、欠如した一面を覗かせる一幕や何か飛び抜けて秀でた個性がないためキャラ掘りが薄すぎて致命的でした。また全体的に主要敵ヴィラン二体のほうがMIBの面々よりキャラ立ちしてた印象を受ける。ちっちゃな宇宙戦士ポーニィもホッとできて癒される要素であったし、間違いなく本作のハイライトを飾る魅せ場が最後の終盤にありガン上がりした。本編のプロット全体で云えば"ニューラライザー"が本作の重要なマクガフィンとなるが、続編仕切り直しの一発目からそう来るか…という振り切って畳み掛けるような組織ぐるみのシナリオなので賛否両論あるかと感じました。良くも悪くも次なる続編を視野に入れずに1話完結のような詰め込んで製作したのかなという所感。またオリジン版で輝ったウィル・スミス歌唱による名曲ばりの楽曲が、続編では欠如してるのも物足りない要因の一つなのかと思う。総括すれば過去作三部作のオマージュとか舐め回すように観てる信者視点での見解も気になる続編でした。今回もし世界でヒットして興収が伸びれば次回の第二弾も見込めるのかなと思います。というか未だスピルバーグが製作総指揮に名を連ねてる経緯が一番驚いた箇所である。あまり期待値を上げすぎず"目で見て楽しめる系"の作品なのは間違いないので、スペースガンでガシガシやり合う最新ガジェット満載のスペクタクル映画としてもお勧めです。
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