スマホを落としただけではない。
それはひとつの要因に過ぎない。
スマホを落とした上に、あのような秘密を抱えていたからこそ、あんな災難に巻き込まれなければならなかったのだ。
そもそも災難だったのだろうか。
確かにとんでもない目に遭ったかもしれない。
でも逆に考えてみると、スマホを落とし、あんな仕打ちを受けたからこそ目を背けていた出来事と向き合うことができたのではないか。
そして、過去を乗り越え前へ進めたのではないか。
ハッピーエンドを迎えられたのではないか。
スマホにはいろんなものが詰まっている。
その最たる例が過去だ。
SNSへの投稿も写真も連絡先もメッセージもすべて過去のもの。
スマホを使う時間は過去にとらわれている時間。
そして、まさに主人公の女性はそんな存在だったのだ。
そう考えると、スマホではなく人と向き合い人と触れ合うことで未来を作っていくことがどれだけ尊いことなのかが身に染みる。
内容的にはラブサスペンスにしたかったのかSNSホラーにしたかったのかがわかりにくく中途半端だった。
もっとわかりやすくしてもよかったのではないだろうか。
ただ、 犯人役の俳優はとんでもなく吹っ切れていてイメージを覆す熱演だった。
その犯人も途中でわかってしまうのがもったいなかったが…。
現代に特有の物語だった。
