mimotoxmimoto

キングのmimotoxmimotoのレビュー・感想・評価

キング(2019年製作の映画)
3.5
英国で時代を超えて受け継がれ上演され続けているシェイクスピア劇を解説してくれる人がとなりにいてほしい。

付け焼き刃でシェイクスピア『ヘンリー五世』をちらっと読んだので、登場人物で混乱することはなかったけれど、陰謀を企てたケンブリッジ伯らの流れは映画だけでわかるのだろうか。

どのようにヘンリー五世が上映されてきたのかわからないので、今回の脚色が有効なのか判断がつかないままに文句を言うのもフェアじゃない気がするけれど、演出の重々しさに比して、台詞が軽すぎる気がする。特に、シェイクスピア劇に精通しているだろうショーン・ハリス演じるウィリアムの台詞(主に後半)は気になった。

また「ゲースロだなぁ」と思う演出が多い上に、迫力がゲースロに完敗している。本作の戦いの見せ場は、ゲースロS6E9「庶子たちの戦い」に似てたけど、いまいち盛り上がらないなという残念な気持ち。

ジョエル・エドガートン演じるフォルスタッフとヘンリー五世の友情は、最も脚色された部分の一つだと聞いたけれど、これも足らない。

シャラメ氏は明らかに戦慣れしていなそうなキングだったけれど、演技の迫力は凄まじく演説のシーンやショーン・ハリスと一緒のシーンは見応えがあった。
あと、愚者っぽさ満載のフランス皇太子ロバート・パティンソンもよかった。よかったからこそ、もうちょっと演出どうにかならなかったのかと思う。
死ぬときの見せ方って大事だなと思う。大切な登場人物の死に方の演出がことごとく「こんなもんか……」だった。
mimotoxmimoto

mimotoxmimoto