りな

ビューティフル・ボーイのりなのレビュー・感想・評価

ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)
4.8
現在は『13の理由』の脚本家としても活躍するニック・シェフが、8年という歳月をかけてドラック依存から克服するまでの壮絶な体験と、彼を支え続けた家族の物語。ティミー目的で見たけれど、スティーヴカレルが凄くかっこいいです。ふたりともより一層好きになりました。ティミーは毎度父親の人柄とエンディングに恵まれていますよね…。今作のエンディングはブコウスキーの朗読。

安らぎや幸せとは俺にとって
劣等であることの象徴だった
弱者の居場所
腐った精神の居住地
だけど
街での喧嘩や自殺的な過ごし方をした月日、
あらゆる女とのやり取りを考えてみると
俺と他の奴等とは違いがないことが
だんだんわかってきた
俺は連中と同じなんだと

見方によっては不幸にも絶望にも取れるけど、大切なことだと思う。何者でもないと知り受け入れること。だからこそ、わたしたちはみんな自由なんだ。薬物に依存していたっていなくたって、人生は躁と鬱・幸福と不幸の繰り返し。心にはいつも不安があって、周りに恵まれていたって自分自身が自分を愛し、誇れなければ、人生に色はない。コーヒーカップや、歩道を歩いている犬、その身体、その耳、その鼻。全てがあるべき場所に存在していて、人生の一部がそこに納まっている。可愛いニット帽の下で色のない瞳を宿していた彼が世界中のそのひとつひとつに気付き、また色彩に包まれる人生を取り戻そうと立ち直るまで、離さなかった愛の話。

ジョンレノンのbeautiful boyが流れるシーンも凄く良かったんだけど、見終わってからニーナシモンのI Wish I Knew How It Would Feel To Be Freeが思い浮かんだ。"自由"そのものではなく"自分が感じられる自由"とは何か、その方法を知りたいと願ってる。
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