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ビューティフル・ボーイのshunGoのレビュー・感想・評価

ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)
3.8
"すべてを越えて、愛してる"

アメリカで社会問題となっている若者の薬物使用を題材に、とある青年と父親の薬物依存との壮絶な戦いを描いたノンフィクションストーリー。

脚本は「ライオン」のルーク・デイヴィス、主演は「僕の名前で君を呼んで」のティモシー・シャラメ、「リトルミスサンシャイン」のスティーヴ・カレルが抜擢。

18歳の青年ニックは、幼少期から父デヴィッドと仲良く物書きが好きな好青年。しかし、ふとした事をキッカケに薬物に手を染め自らの人生を崩壊させてしまう。父デヴィッドをはじめ家族や周囲の献身的な支えによってニックは人生を立て直そうとするが。。。。。

この作品はティモシー・シャラメの演技力がすごく光っていると思う。真面目な好青年の演技から、薬物使用後のハイになってる姿、薬物の影響で暴力的・感情的になる姿、自分を取り戻そうと頑張る姿など、薬物依存に苦しむ人のすべての姿を完璧に演じ切っている。

本作はニックではなく父デヴィッドが実はメインキャラクターだったりする。本人は勿論のこと、その家族も共に薬物との戦いに相当なエネルギーを使っている事がよく分かる。
素直で真面目だった息子が薬物によって廃人になる姿を見て、"お前は一体誰なんだ、以前のニックはどこへ行った"と発言する気持ちも痛いほど理解できる。これほど二面性が出るとむしろ怖い。

自分の意志だけではもうどうにもならず歯止めが効かない薬物の恐怖、息子を何とか取り戻そうとする家族の愛が伝わってくる。

最後の最後まで薬物の恐ろしさを痛感できるリアルな物語。
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