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ビューティフル・ボーイのsenのレビュー・感想・評価

ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)
4.5
薬物依存のリアル
実話に基づいているので、本当にリアルでよくある更生物語とは違う。

こんな風に落ちていってしまうのか…
こんなに簡単に崩れてしまうのか…
終わりなんてなく、一瞬でも気を抜くと簡単に引き戻される。

主人公親子は、どこにでもいる普通の家族で、コミュニケーションもしっかり取れているように思えたから、余計に重たく、一人の親としてずっと胸が痛かった。

ストレス発散に、ほんの軽い気持ちで始めたドラッグが少しずつ、少しずつ自分を支配し始める。
変わってしまう人格と、家族にまで広がる影響が、じわじわ怖かった。

じゃあどうしたらいいんだろうと考えたけど、分からなかった。
親がどんなに子供を愛して大事に育てても、うまく伝わらないことはある。どこかしらで寂しさを覚えたり、親の知らないところでもいろんなストレスを抱えたりするのはもう防ぎようがない。
離婚しなかったら?
もっと話を聞いてあげてたら?
期待をかけなかったら?

考えたところで過去は変えられなくて、後は向き合うしかないんだろうけど、あんなに何度も裏切られたらそりゃキツイ。

結局は本人の意志なのか…
ほとんどは一生戻ってこれないか、命を落とすかなのかもしれない。親は子供のことしか考えられなくなるのに、ただ待つことしかできないのが本当に辛かった。

ドラッグって、入り口は心の満たされなさとか、興味本位とかなんだろうけど、一度始めると強すぎる快感の誘惑と、自己嫌悪を煽ったり、なんだか手口が悪魔そのものだ。

アメリカの50歳以下の死亡原因の一位が薬物の過剰摂取だそうだ。
それだけ薬物が簡単に手に入るのだろう…
日本もそんな環境ならどうなるんだろう。
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