ルパン3000世

愛がなんだのルパン3000世のネタバレレビュー・内容・結末

愛がなんだ(2018年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

この映画を観た方は、成田凌氏演じるマモルがひどい男性という風に受け取るかもしれないが、マモルはテルコを恋人にしようとしていたことも考えていたがムリだった、という気がしてならない。

まず靴下が入っている引き出しを開けると雑に入っていた靴下がめちゃくちゃ綺麗にたたまれていて、マモルが「え、」と驚くシーンがある。
テルコがたたんだものなんだけど、ああいうことをされると人によっては「この人とやっていくのはムリかもしれない」となりがちである。雑に入っている方が自分は生活しやすかったのにキレイにたたまれていると価値観やモノの見え方を押し付けられているような気がするのだ。

マモルはガサツな男性のように思う人がいるかもしれないけど、実は繊細な部分をかなり持っている。
繊細じゃなかったらキレいにたたまれている靴下の並び方も受け入れる気がする。

序盤のシーンで、テルコを急に家から追い出すシーンがあるが、これは味噌煮込みうどんのニオイが本当に耐えられなくて、そのことを彼女に言うと彼女を傷つけてしまうかもしれないから言えなかったような気がする。

テルコが朝起きるとマモルが急いで会社に出かけようとするシーンがあるが、この時マモルはなぜ急いでいるのかテルコにちゃんと説明する。
ちゃんと説明したのはマモルはマモルなりにテルコを大切にしようとしていたから、という気がしてならない。

あとスミレはかなり人間愛をもった人物だな、と私は思ったが、その人間愛をもっている部分が説明的じゃない感じが映画として良かった。
テルコと連絡先を交換してなかったのに電話をかけ、中目黒の店に呼んだのは、テルコにマモル以外の良い男性を見つけてほしかった、という姿勢があった気がする。
フツーは大して仲良くない女性にそんなことはしないだろうから、元々人間愛がある人物、という人物設定なんだろうな、と感じた。ナカハラくんとヨウコの関係を知り、怒り、急にパスタを作ろうとするシーンがあるがああいうことは人間愛がある人じゃないとやらない。

あとヨウコはかなりアタマがキレる人物。
ナカハラくんを別荘に行かせたのは、マモルとスミレがくっつけばテルコはマモルのことを忘れられると考えたんだけど、マモルとテルコ、スミレの人物像を考えたときに、ナカハラくんみたいな「絶対的に良い人」を送り込むことで場をなごませ、告白する場という一見緊張感があるような場を緩和させる効果をヨウコは考えていたのかも。
緊張感ある場より緩和された、ユルい場の方が告白はしやすいとも考えていたのかも。
しかし、ヨウコがナカハラくんを道具のように扱っていたのは紛れもない事実。別荘にナカハラくんをいかせたのはテルコの幸せを願っているためだったとはいえ酷い扱いだった。

撮影の仕方としては、序盤のシーン、ヨリのシーンでアタマをちょっとだけ切る、という画角が多かったが、アタマを切られると視聴者は人物の目や口元に目が行きがちだ。
これは人物の心の動きが重要だ、ということを製作チームは伝えようとしていた感じがする。なぜ、マモルとテルコは恋人になれなかったのかを視聴者にわからせるため、役者の心の動きを視聴者に想像させようとしたんだと思う。

さて、使用されている音楽でレッドホットチリペッパーズのバイザウェイを思わせるような楽曲が使われている。しかもかなり素晴らしいタイミングで2回。
監督、たぶんレッチリ好きだよね。

素晴らしい映画でした。
ルパン3000世

ルパン3000世