ゆっけ

愛がなんだのゆっけのレビュー・感想・評価

愛がなんだ(2018年製作の映画)
5.0
ふー、とっても良い映画だった!
記念すべき、500本目の映画はこちら『愛がなんだ』。文句なし100点。

渋谷のシネクイントは、連日昼の部が満席で大人気。カップルや女性同士が多いですが、恋愛映画としてかなりリアルになっていますし、観終わった後、語りたくなります。

『百円の恋』『勝手にふるえてろ』に続く傑作!ダメなやつなんだけど、愛おしくて、抱きしめたくなる。この映画の雰囲気、めっちゃ好きです。

①一つ一つのシーンや仕草が良い。

冒頭の顔アップからの引いて、状況を見せるところとか、その他、一人ひとりの経緯を教える4人で行くバーベキューのシーンとか。
最初の5分でこの映画好きだなぁっていう雰囲気があるのですが、本当に愛おしくなる映画だなと最初から感じました。撮り方がうまい!
コーヒーの染みにも意味がある。

②たくさんのご飯が出てくるシーンも好き。

日清のカップラーメン。
味噌煮込みうどん。
ゆば。
バーベキューの肉。
アスパラパスタ。
餃子。
筑前煮。
ラーメン屋のラーメン。
ピーマンの肉詰め。

追いケチャップは、女子のキュンキュンポイントですね。あんなのはできません。。

③あるあるな、日常を描いた笑えるシーンがあるのがいい。

ナカハラっちー
カメラを何台持っていたら、たくさん持っているというでしょうか?

なにあれ?あのラップ最高でしょw

④そして、なんといっても、役者さんの演技がみんな良くて、ずっと観てたくなる。

テルコ、マモル、すみれ、葉子、ナカハラくん。
みんな愛おしい。

⑤「愛」ってなんだ?と問いかけるから、考えてしまう

「愛がなんだ」って、ふざけるな!そんなのわかるか!って投げ出してしまうのですが、そんなの分からないけれど、目の前にいる人と向き合うことの大切さについて考えさせられます。

ここで描かれている「愛」って、他人に必要とされることでの自分の存在意義を確認しているというか、「寂しさ」を埋める行為じゃないかって思いました。夜中に一人でいて、たまらなく寂しくなったときのぽっかり空いた穴。それを埋めるための誰かに過ぎないんじゃないかって。

かくいう自分もテルコのように、必要以上に世話を焼いたり、気を遣ったりして、相手の二歩三歩読んで行動していたこともあったり。逆にそれをやられて、なんだか面倒くさいなぁと距離を持ちたくなることもありました。映画で出てくる主要な5人の登場人物は過剰に描かれていますが、誰でも少しは経験あるようなことが多いんじゃないかなと思います。

果たして「愛」ってなんだろうか?「愛」って考えれば考えるほどわからなくなるし、一つの答えなんてないかもしれないし、「真実の愛」なんてアナ雪じゃあるまいし、そんな簡単なものじゃないと思います。

昔、ミスチルの桜井さんがとある音楽番組で、言ってました。
「愛」って、すごく抽象的で、いろんな意味があって、「愛」が憎しみを生むこともある。
でも桜井さんは、わかったんですって。

「愛」って、「大事」ってこと。
人(相手)のことを考えて、大事に想うきもち、だって。

相手のことを想わないで、自分自身のことしか考えていない「愛」は、単なる「恋愛」。

ナカハラの個展のタイトルのように「一瞬の夢」=自分が想う相手への理想を追いかけているのに過ぎない気がする。足りない自分を補うための理想の相手。ぽっかり空いた穴を埋めるための「愛」って、埋めても埋めても、他のとこがまたいつか空いてしまう気がする。結局はその穴さえも、大事に思える人に出会えることや、自分自身がそれでいいって思えることじゃないかなぁ。。。

お互いがお互いのことを大事に想っているからこそ、一緒にいて居心地の良さを感じるし、なにかを求め合うこともなく、都合のいい女(男)にもならない関係性がずっと続くことが「愛」だと。

この映画観終わった後、金麦のビールを歩きながら歩いて帰りたいと思いました。
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