ジェイティー

ランボー ラスト・ブラッドのジェイティーのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

※この感想は2021/12/29に書き直しされています。

前作から10年後,故郷に帰ったランボーは家業を継ぎ
古くからの友人マリアとその孫娘のガブリエラと共に平穏な日々を送っていた。
ある日、ガブリエラが自分と母を捨てた父の所在が分かり、その理由を知るために単身メキシコへ赴くが行方不明になってしまう。
ガブリエラを救うためにランボーはメキシコへ救出に行くお話。

ランボーらしさが薄れているとされる本作
アマプラになったことで再度鑑賞しました。

ランボーでやる意義があったかどうかを重点に鑑賞しましたが
個人的には意義はあったように思います。

これまでのランボーはその超人的な能力故に常に死がすぐそばにありましたが
本作では老いも一つのテーマになっていたのかなとも感じました
もうかつてのように圧倒することが難しくなっている姿は
80年代90年代ヒーローの栄枯盛衰を再度認識させられたようでショックでしたし
大切な人がこの世から去ってしまったことで「なぜ自分じゃない?」と自問自答するランボーを観て
彼はずっと死にたがっていたのかと思うと涙が溢れてしまいました。

後半の一気呵成と罠の作成などシナリオの骨組みはホームアローンのそれですが
上記の点を考えるとどこか西部劇のような雰囲気も持ち合わせているような気がします。
言い過ぎかもしれませんが「許されざる者」からの影響も受けているのではないでしょうか。
あの作品の主人公もかつては札付きの悪でしたが家族を持ち慎ましく暮らしていましたし
ラストの銃撃戦の漆黒の意思は通ずる所があると思います。

本作の怒りの原点は家族を奪われたという完全なる私怨からきている点も
これまでの作品とは異なる部分です
特に2~4に関しては義侠心という部分が強かった印象なので
その意味では1作目の対になっている副題にも掛かっているのでその辺も意識していたのでしょうか

確かにラストのゲリラ戦はランボーの悪夢の再現にも思えますし、単純にスカッとするので好きなのですが
前半の幸せそうなランボーの姿を観ているので憎しみ全開で皆殺しにしていく姿は
今までは「よ!待ってました!!」と思っていたのに蓋をしていたものを開いてしまったように感じて
とても悲しくなりもしました。

初見時に観た終わり方はやっぱり幸せになれなかったことを残念に思いましたが
改めてランボーのモノローグを聞いていると、
ランボーにとって幸せだった10年間でも心の傷が癒えることはなく蓋をしただけだったことを考えてみれば
彼に必要だったのは悲惨な過去と向き合えるだけの幸せな日々があったことを胸に秘めてこれからも生きていくことだったのではないでしょうか。
ラストシーンをありふれた幸せな生活で終わりにしないこだわりがスタローンにあったんだとすると
少し腑に落ちるような気がします。

ラストカットは馬に乗り去っていく、まさに西部劇の終わりっぽくて印象に残るシーンです。
全編にわたってスタローンお気に入りのブライアン・タイラーによるスコアも作品を盛り上げてくれてます。
やっぱり印象に残る音楽があるのがスタローン映画の良いところですね。