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パピヨンのICHIのレビュー・感想・評価

パピヨン(2017年製作の映画)
2.5

実話に基づいているが、ドキュメントドキュメントしていない、ファンタジーな要素が一瞬あり、そこが個性的だった。

洋版久保田正隆が扮するピエロのウェイターが、静寂の監獄に現れるシーンは幻想的で、エヴァの、教室の椅子に座って語るあのワンシーンを思い出した(よく覚えてはいないが..)。

ただ、静寂の独房に入れられてから出るまでがあっさりとしており、余り苦しみと長さが伝わってこなかったし、鍛えていたシーンもどこにも繫がらなくて、なんだかサービスシーン的に入れたオマケに見えてしまった。

感情的に盛り上がるのはラストの、海へ飛び込み成功からの咆哮シーンにしていると思うが、何年も命からがら生き延びてきて体力もギリギリであろう人が、あんなに若々しく雄たけびをあげられるのか?など、感情移入ができない部分があった。

感情描写はわりとしている筈なのに、淡々とした進行に思えてしまうのは、そういうテイストなのか..

名作の匂いはしつつ、『ダンケルク』のような没入感や達成感、ラストの高揚は感じ得なかった。

そういう人生を送った人が居たこと、その方々、史実に祈りを捧げるような、そういう作品。
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