ソウキチ

CLIMAX クライマックスのソウキチのレビュー・感想・評価

CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)
5.0
緩急が不規則すぎるカット割、定点だったりぐるんぐるんだったり落ち着きのないカメラワークに序盤から徹底的に観客の平衡感覚を狂わせにくる。

三半規管の主導権を映画に奪われ、LSD入りサングリアの酔いでこちらの足元が段々とフラついてきた最高のタイミングで、待ってました!ノエ印のカッコよすぎるタイトルバック。
さぁここからが地獄のはじまりだという大先生の宣言のようで、たいへん痺れました。

そしてそこから後半戦は真っ赤なサスペリア2018も真っ青になる怒涛の狂乱。
ギャスパー・ノエは何の変哲も無い山荘に、地獄を現出させた。

これはもう悪魔降臨の儀、まんま『デビルマン』のサバトでしょう。
完全に正気を失う人たち、画面には映らないものの序盤で示される十字架の存在、穢れなき生贄をもって赤く染まる部屋、ひっくり返る天地。
人間にデーモンが完全に憑依する瞬間を目撃した。

暗い画面で蠢く有象無象は、もはや人として認識できない何かに変異していた。

ストーリーなんか最低限でも面白い映画は作れるんですよ。ご馳走様でした。
ソウキチ

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