Nagi

CLIMAX クライマックスのNagiのレビュー・感想・評価

CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)
4.3
極まってるなー。
撮影技法も、人間関係も、色も、音楽も。極まってる。
生の過剰。死の欲望。いやぁ、すごいもんを観た
ほんでこういう映画をずっと取りたいと思ってたんだよな

追記
 これみんなドラッグの危険性を伝えるっていうけど、おれは違うと思うな。誤解を恐れずにいうと、ある秩序が解体されることの生々しい蠢き。そして、その生々しい蠢きと恐怖を引き受けてこなかった人々を摘発するような感じ。例を挙げると、この映画ではっていうか、ドラッグを用いる映画だと欲望が対象に向けられていない。対象に向かっていく欲望はむしろ断罪されるんだよな。逆にいうと、欲望が解放されているわけよね。男が女に向かう欲望、女が男に向かう欲望、男が男に向かう欲望、女が女に向かう欲望、男がトランスジェンダーであるところの男に向かうところ、男がトランスジェンダーであるところの女に向かう欲望、云々、この映画では各々の性的指向がかなり曖昧に描かれてる印象を受けた。だから、欲望の流れが脱コード化された時に残るのは主体と客体(対象)の問題ではなくて、欲望それ自体の爆発的な解放というわけです。乱交騒ぎや、殺人(オマーを容疑者だと責め立てて極寒の屋外に追放したのは、ある意味ではスケープゴート的な現代社会の風刺にも見えるし)が異様に感じられれば感じられるほど、私たちの秩序の危うさとか不確定性が際立って見えるし、恐怖を覚えるけど、それは多分異性愛至上主義者が性的マイノリティに抱く憎悪に近いんじゃないかな。
本作では秩序の脆さとか危うさを告発する"啓示"がLSDであって(でも、進んで服用したわけではないという点はまた非常に興味深いが)、人間の尊厳を失わせる恐ろしい悪いものとしてLSDが描かれているわけではない気がしてならない。もちろん、ドラッグを進めているわけではもちろんなくて、主題化されるべきなのがドラッグではなくて人間の秩序なんじゃないかってこと。
 まぁ、おれはバロウズの実験とかオルダスハクスリー的世界観に浸かってるしLSDや大麻には肯定的なので、かなり個人的な見解なんだけれど。笑
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