エンドロールに監督助手としか載らない人のドキュメンタリー。その補佐する監督とは映画史上最高の監督スタンリー・キューブリックである。
売れっ子実力派俳優なのに「バリーリンドン」に出演してキューブリックに惚れ込んで残りの一生を捧げた男。
天才による地獄のようなブラック体制とパワハラの嵐を耐え抜き、キューブリックを最も理解した男となる。彼抜きでは後期キューブリック作品は語れない。
あらゆる俳優がキューブリック作品は、もうやりたくないと発言する中で25年も付き合うという狂気の献身ぶりを発揮する。
こういう人柄がいないと偉大な作品が出来ないんだと痛感。キューブリック死後も4Kへの変換など携わり、巨匠のこだわりを伝え続けている。
ラストのエンドロールの上に流れるエンドロールが全てを物語っている。何もかも巨匠やスターの影に隠されたスタッフたちのおかげで我々は名作映画を楽しんでいる。
この作品が作られたことこそが奇跡であり、本当に彼の苦労が少しでも報われたことを願う。何ならアカデミー賞をあげてほしい。そんな部門はないけど…