トッシマー

ハロウィンのトッシマーのネタバレレビュー・内容・結末

ハロウィン(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

 スプラッターホラーだと思ってみたら、人間ドラマでした。

 僕らはマイケルの怖さを重々わかっていますから、主人公のお婆さんのとる行動も理解できます。悪魔のような男に殺されかけて、心に傷が残り、襲われるんじゃないかと不安に苛まれています。映画の展開上、襲ってくることも想像できますから、入念に準備を重ねている主人公への周りからの非難に、「分からず屋!」と叫びたくなるような気持ちにさえなります。
 
 しかし、端から見たら(特に娘から見たら)いい迷惑です。いくら境遇に同情できる余地があるからって、現実離れした妄想を他人に押し付け、人生に介入されるわけですから。他人を挟んだ食事会で、あんな話をし出して、滅茶苦茶にする人って関わりたくないでしょう。娘は、主人公から押し付けられた脅迫観念と戦う、精神的苦痛を強いられる人生を歩む羽目になりました。
 
 かといって主人公を責めることはできません。「こんな母親でごめん」と、彼女が娘を抱きしめるシーンがありました。彼女とて罪悪感を抱いてはいるのでしょうが、事件によって人生を変えられ、恐怖と不安によって、そうせざる負えなかったのです。親に植え付けられた不安、その不安を植え付けた親も、その不安を抱くに至った過程(現実では虐待かもしれませんし、災害かもしれません)があり、憎むに憎めないのです。こういった、負の感情の連鎖は、現実に見られることです。
 
 この映画では、娘は主人公と同じ体験をし、恐怖を共有することで、主人公を許せるようになったのではないでしょうか。自分がかつて使っていた、嫌な思いでのあるライフルを使い、見事マイケルを撃ち、自身の境遇とも一定の感情の妥協ができたのではないでしょうか。こういった、母娘の親子の物語として、僕は勝手に感動してしまいました。

 一方で、孫娘はセックスして葉っぱを吸って裏切られてと、青春を謳歌していました。あまり印象に残らないな。
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