爆裂BOX

ステファニー 死体と暮らす少女の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.0
森の中の一軒家で両親に置き去りにされ一人で暮らす少女ステファニー。怪物の気配に怯えながらも日々を過ごす彼女の元にある日両親が帰ってくるが…というストーリー。
アキヴァ・ゴールズマンとジェイソン・ブラムがタッグを組んだホラーです。
前半は森の中にある家で暮らす少女ステファニーの日々が描かれるんですが、これが意外とハラハラします。ちっちゃい女の子が高い所にあるビンを背伸びして手も伸ばして取ろうとして落としちゃう所やミキサーを動かしてて上手く動かないので手を入れたり、ガラスの破片が散らばる中を裸足で歩いて破片を踏んじゃったりする所が描かれ「気をつけて!」「何やってんの!」とハラハラして目が離せませんでした。歯を磨くときに歌ったり踊ったりする所や自分(とお兄ちゃんの死体)以外誰もいないから「クソッタレ」や「クソ」を連発する所も中々微笑ましくて楽しいです。その合間に壁に貼られた新聞やテレビのニュースで外の世界状況がチラチラと語られ何やら不穏な気配を感じさせます。
両親が帰ってきてから物語が動き始め、この世界がどういう状況で何故両親はステファニーを置いて行ったのかが明かされていきますが、これはネタバレ知らないほうが楽しめると思うのであまり書けませんが、こういう形のアポカリプスは中々新鮮で面白いですね。ちょっとクトゥルー神話の要素も感じて面白いです。
両親をフランク・グリロと「フリンジ」のオリヴィア役などで有名なアナ・トーヴが演じていて其々いい演技を披露していましたね。残念ながら今回グリロさんはアクション封印してますが。写真で軍服着てたからちょっと期待したけど。
ホラーというよりはSF要素の有るダーク・ファンタジーという感じで怖さを求めるとがっかりするかもしれません。ストーリーもあんまり特筆するものはないですね。何となくレイ・ブラッドベリの短編の雰囲気を感じました。
でもなによりステファニーを演じたシュリー・クルックスの演技の素晴らしさに惹きつけられました。中盤まで彼女の独り舞台にもかかわらず飽きませんでしたからね。まだ、あんまり出演作多くないみたいですが、今後が楽しみな女優ですね。
ラストの住宅地からどんどん引いて行って地球を映していく所は中々好きですね。
好き嫌いあると思いますが、シェリー・クルックスの演技だけでも一見の価値ありだと思います。