爆裂BOX

ヒドラの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ヒドラ(2009年製作の映画)
3.0
静かな海域にひっそりと浮かぶ無人島にノーランら4人の犯罪者を解き放ち、人間狩りを楽しんでいたセレブのハンター達だったが、島に棲む怪物ヒドラが現れ…というストーリー。
ギリシャ神話に登場する怪物ヒドラが現代に現れるモンスターアクションです。監督は「エンバイロン」のアンドリュー・プレンダーガストです。
ヴァレリー達ギリシャ神話の研究員クルー達は、ある無人島でついに伝説のヘラクレスの剣へ繋がる洞窟を発見するが、その後、全員が消息を絶ってしまう。一方、沿岸では犯罪者達を標的にセレブが人間狩りを行うため、貨物船が近付いていた。ノーラン達犯罪者が島に解き放たれ、狩りが始まるが、島に棲む怪物ヒドラが襲い掛かってくる、という内容です。
人間狩り物とモンスター物を合わせた意欲作ですが、結果としてどっちつかずになっちゃった印象ですね。
主役であるヒドラは冒頭から出し惜しみなく登場してくれます。CGは年代考えてもショボいですが、神話通り頭吹き飛ばされても断面から二つの首が生えてくる再生能力見せてくれます。攻撃は主に複数の頭で食らいついて股裂きや腕裂きといった残虐プレイを見せてくれます。まあ、ゴア描写や血飛沫も安いCGなのでそんなにグロくは感じませんでしたが。ジャケのような巨大さはなく、アナコンダが少し大きくなったくらいの大きさかな。というか、登場の度にサイズ変わってる気がします(笑)姿もヘビというより口のついた巨大ミミズという感じで、監督の前作「エンバイロン」に登場したクリーチャーに似ています。
ただ、人間狩り物としては、ハンターに追われるスリルや、狩るものと狩られる者の立場の逆転などの要素が希薄になってて、普通のモンスターパニックになってる感じですね。折角主人公のノーランが元軍人で、彼の指揮のもと獲物となった犯罪者たちが罠仕掛けたりして対抗しようとしたり、ノーランは因縁のある元上官で貨物船の船長の策略で送り込まれてきたという上手く使えば盛り上がる設定あるのに、実質ハンターに殺されるのレイプ犯だけで、後は対決前にヒドラに襲われて食われちゃうので、ハンターとの戦いで盛り上がる場面がありませんでした。ヒドラが人間狩り物に水差しちゃってる感じですね。これ普通に人間狩り物として作った方が良かったんじゃないだろうか。ハンター達も犯罪被害で家族を亡くして犯罪者を恨んでいて、今回のハンティングに大金だして参加したという設定で、復讐の方がメインの動機かと思ったら、作中の言動はゲームを楽しむものという感じなのも何かチグハグに感じたな。
主人公とヒロイン以外のキャラも特に個性立ってる感じしなくて、皆結構アッサリやられていきます。テキサス・バトルも撃たれてしばらく生きてたから助かるかと思ったら、何時の間にか死んでたみたいだし。ノーランと因縁のある船長ともいざ対決!となるかと思ったらヒドラの登場でアッサリ終わるし。調査隊の生き残りであるヴァレリーはてっきりヒロイン枠だと思ってただけにあのアッサリした最後にはちょっとビックリ。ヴァレリーとヒロイン、今回のハンティングを企画したキャムデンのビッチそうで意外と冷静に頭が回る妻役の女優さん美人でした。キャムデンは悪人ではあるけど、意外と妻に頭あがらない所とか人間臭くて良かったかな。悪人としては主人公との因縁がある分、船長の方が立ってましたね。
ヒドラを倒す方法が爆発オチじゃなくて伝説のヘラクレスの剣というのは神話に沿っていて良いですが、対決シーンではヒドラが避けもせずフラフラ動きながら首を次々撥ねられて結構アッサリ目に終わってしまうのは物足りないですね。一応、倒したと思ったら貨物船にまで追ってきたりしますが、結局同じように倒されてたし。
モンスター映画としては可も不可もない作品ですかね。人間狩り物としては期待しないほうが良いです。