ユウ

白雪姫の赤い靴と7人のこびとのユウのレビュー・感想・評価

2.5
『竜とそばかすの姫』でも話題になっている主にディズニー作品でキャラデザを担当しているキム・ジンがエグゼクティブクリエイティブディレクターを担当したアニメーション。不朽の名作『白雪姫』を2019年にやる(日本では2021年に公開された)からには新しい目線を入れているに違いないと思い鑑賞。

中身は『白雪姫』を軸に『美女と野獣』的な運命にされた7人をおともに『塔の上のラプンツェル』のような若返るアイテムを狙う魔女とのストーリー。
プリンセス物語をごっちゃにしています。プリンス・アベレージが招くお姫様候補なんかも笑えます。レイヤ姫って...w。
トロールの名前もマーリンやアーサーなどおとぎ話から引用が多数あります。

新しい部分で言えばスノーホワイトがふくよか、言っちゃえばデブで可愛くないキャラとして置かれている。彼女が赤い靴を履くことでスリムで美人になる設定はやはり面白い。一方で相手役のマーリン一行はイケメン集団だったけどトロールにされてしまった人たち。白雪姫側は容姿を良い方に変え、マーリン側は悪い方に変えられてある。外面と内面の話、ルッキズムに切り込んだ話がこの映画なんですね。

なので、容姿の良し悪しによる対応の違いが極端なほどに描かれます。靴を履いて、姿を変えただけで周りが急に優しく接し始めたり、いろいろプレゼントされたり。逆に靴を一度脱いで、元の容姿に戻ると話を聞いてもらえないなど世間の彼女への接し方の変化が強調される。

言っちゃえばフレッシュだったのはそこくらいで他の部分はかなり弱い。
父親を探すストーリーと魔女が靴を狙うストーリーが上手く噛み合っていない。白雪姫が話を聞いてもらうには美しくなるしかないという結論に至る過程がないので盗人にしか見えない。『アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅』と同じように敵が悪くないように思えてしまう。外見だけで結婚して結局魔女だった父親への償いの物語とかにしなかったのも残念。そこが1番問題じゃない?アナ雪2では前の世代の愚行に対する贖いも描かれていたぞ?
冒頭に登場するトロールに変えた魔女の顔をしたお姫様も何かしら話に交えて欲しかった。
歌もおふざけじゃなくて多分真面目にやっているのだろうがかなりチープ。

結局子ども向けかという感じになってしまった。クロエグレースモレッツの声は好き。
ユウ

ユウ