ゆず

斬、のゆずのレビュー・感想・評価

斬、(2018年製作の映画)
5.0
ぜんぶ、監督のせいだ。

人を斬ることが出来ない浪人を主人公に、暴力の虚しさを描いた時代劇。基本、静かな語り口と不穏な空気感。一方で遠慮のないバイオレンスが圧倒してくる。暗くて攻めてる塚本晋也作品。

主人公・杢之進(もくのしん)に池松壮亮。
礼儀正しい穏やかな青年で、剣の腕は一流。
しかし人を斬ることを恐れ、刀を抜くこともできない。
そんな彼が、暴力の真っ只中へと否応なしに放り込まれます。

蒼井優が演じるのはそんな杢之進に密かに思いを寄せる村娘。
最初、蒼井優が演じるにはこの村娘は可愛らしすぎると思って見ていたけど、後半、蒼井優であることに納得の展開と演技が始まります。

塚本監督は重要な役の澤村役で出演もしています。
幕末の動乱で名を上げようと剣の腕の立つ仲間を探していて、杢之進と出会う。自身も超一流の剣士。
目的のためには手段を選ばないような人物だと思う。
そんな澤村の行動が杢之進と農村を危険にさらしてしまいます。

なので、「ぜんぶ、監督のせいだ」なのです。

まあ割と好きな映画でした。
ゆず

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