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斬、のLXのレビュー・感想・評価

斬、(2018年製作の映画)
4.0
日本の武士は、強いことと共に「もののあわれ」という人情がわかる人間であることが求められていた。
そういう人情のある人間でないと、命懸けで戦えないからであったし、人を殺すような極限状態で生きる武士がその過程で人情を知ることもあったのだろう。

主人公は決して優しいから人を斬れなかったというよりは、単純に身体性(経験がない)に欠けた世間知らずだったからというべきで、この点現代人への皮肉にも捉えられる。

その世間知らずも、突如となく極限状態に晒されることで、葛藤しながらも覚醒していく。

ラスト主人公がただの乱暴者になるのか、本当に人情あるサムライになるのか。
『ダンケルク』にも言えることだが、戦争はいけないことかもしれないが、戦争によって人間が成長する面もあるのかもしれないのだ。

強さも持たない優しい男等存在しない。
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