赤足

さよならくちびるの赤足のレビュー・感想・評価

さよならくちびる(2019年製作の映画)
3.6
若者たちの青春と恋愛を描いたロードムービー。全国をめぐる解散ツアーを行う女性デュオと、バンドを支える男性の複雑な思いが交錯する。

隣の芝生は青いと言うが、当の本人からしてみれば実は真逆で実はどちらも、抱えている問題や根っこは同じだったなんて事は多々ある。この作品もそれと同じように、自分には足りない部分を身近な相手に求めつつも、自我が邪魔をして素直になれず。わだかまりやボタンのかけ違いみたいな事が積み重なってしまい、解散という名目で仕切り直して一旦区切りを着けようとする、3人の揺れ動く感情を音楽というフィルターを通して徐々に垣間見えていく展開や演出は素晴らしかった。何気ない風景や時折無音で表現される歌詞等や対となる食べ物やタバコといった小道具もいい意味でマッチしていた。そして、歌うことで、土地やファンと触れ合う事で浄化していき憑き物が落ちたかのようなハルレオたちの姿、そして自分たちの心の奥底で本当にやりたかった事、わかっていたけれど素直になれずにいた自分たちを素直に認め受け入れた先に見えた世界とこれからも続いていくであろう現実とのギャップと見終わったあとにすっと染み込んでくるハルレオの歌に暫し身を預けたくなるようななんとも言えない感情になる作品であった。
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