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バオのJIZEのレビュー・感想・評価

バオ(2018年製作の映画)
3.2
中国を舞台に息子が巣立った両親の元に蒸籠の中で生まれた赤ちゃん"Bao(バオ=中華まん)"と人間の母親との愛情あふれる日々を紡ぎ出したピクサー短編アニメ映画‼おもに『インクレディブル・ファミリー(2018年)』の前座の役割としては肉感的な食欲と息子を想う郷愁で最高にチャーミングな心温まる8分間の作品だった。調理法でもフードプロセッサなどデジタル仕様ではなく皮を作り,肉を挽き,素材を細やかに刻んでいき作り上げていくフード描写の丹念さに(ピクサーならではとも称すべきか)目を奪われる。また原題の「Bao」は"肉まん"以外にも"大切な家宝"などの意味も含まれ中国ならではの食(伝統)への讚美や母親への献身へ感謝するような暖かみのあるメッセージ性が盛り込まれていた。つまり"息子の帰郷"が作品の主眼ではない点にプロットの奥行きがうかがえる。やや作品を包みこむ"ほんわか感"が狂喜の域に達していたり小さな肉まんが意気揚々と恋人を家内に招き入れる一幕などこちら側が作品への補正を必要とされる箇所もあったが登場キャラの柔らかいぽよぽよ感も含めて家族の深いカタチを想い起こさせる食に命を吹き込んだ極上の家族系肉まん物語でした。
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