椛美

ジェニーの記憶の椛美のネタバレレビュー・内容・結末

ジェニーの記憶(2018年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

単純に題材・ストーリーが素晴らしい。観てよかったし、皆に観てほしい映画。
13歳の時に40歳くらいの男性と「素敵な恋をした、良い思い出」と思ってきた主人公・ジェニー(48歳)が、「実はあれはレイプだった」と気づき、それを認め、なんとか消化していこうともがく物語。
ジェニーの記憶の中では13歳当時の彼女はハイスクールドラマのヒロインっぽい大人びたティーンネイジャーで、最初は映画の中の回想でもそういう俳優が演技をしている。だけど、実は昔のアルバムで13歳の頃の写真を見てみたらまだほんの子供だった!と気づく。そこから、同じ回想シーンを別の子役(本当に子供っぽい、引っ込み思案で流されやすい感じの子)が演じ直すのがキツかった。でも良い見せ方。
他にも、現在48歳のジェニーが35年経った今でも性的な関係に消極的になってしまうような(フラッシュバックのせい?)描写があって、やはり幼い頃の体験はその後の数十年を大きく変えてしまうのだと強く感じた。
それから、「レイプをする大人達」の手法(グルーミング)もよく描かれていた。
与しやすそうなターゲットを見つけて、褒めて肯定して、「味方だよ」と言ってあげる。そして、「だから、セックスしてくれるよね?」と迫る。承認・肯定と引き換えに性加害を迫る非道なやり口。被害を受けた子どもは「これは愛されてるからだ」と被害を正当化してしまう……胸が痛んだけれど、非常に巧妙だな、自分がもし子供のときにそういうことをされていたらきっと逃げられなかったな、と思う。
本当に全人類観てほしい映画。

最後に、ご自身の体験を勇敢にも映画へと昇華したジェニファー・フォックス監督に敬意と称賛を。
椛美

椛美