くるみ

ジェニーの記憶のくるみのレビュー・感想・評価

ジェニーの記憶(2018年製作の映画)
4.2
ジャニーズ性加害事件が話題になっているので、こちらの映画を再鑑賞しました。



『誰かに愛されれば魂の空洞が埋まると思っていた』
グルーミングの恐ろしさを描いた衝撃の実話映画。


ドキュメンタリー監督のジェニーはある時、子ども時代に書いた日記を読み返したことで13歳の夏のある出来事を徐々に思い出していく…。


13歳の頃に大人の男性(おそらく40代)と遊んでいたことが、美しい思い出として記憶されていた序盤。
だが13歳だった自分の写真を見返すとあまりに幼く、思い出の自分との乖離が激しい。
「あれ?こんなに私幼かったっけ?」と思うところからもしかしてこれは虐待だったのではと思い始める。


子どもを言いくるめて洗脳するなんて
大人にとっては赤子の手を捻るより簡単。

大家族の中でなんとなく居場所がなかった少女を言葉巧みに洗脳し、性的搾取をしていく様が恐ろしいほど丁寧に描写されていて戦慄する。

被害者だと思われたくないけれど、
体が悲鳴をあげるほどの残酷な体験を忘れることなど到底不可能だったから、
フィクションという形で自分の体験を日記に綴りその後は記憶に蓋をしていたのだろう。


子どもは親以外の大人から大人扱いされるとそれだけで嬉しいもの。
10代の危うい時期。自己判断できると思い込んでいるけれど、まだまだ判断能力は未熟。
言葉巧みな大人に簡単に言いくるめられてしまう。
それを家庭での所在の無さがさらに拍車をかける。

母親の「楽しんでいたの?」はあまりにも残酷な発言すぎて言葉がなかった。


子どもの頃に受けた性被害が彼女の性への歪みを作り出したのだろうか。(既婚者と付き合う〜などのくだりはそれを伝えたかったのかなと)
また、現在結婚していないのは?子どもがいないのは?その時の体験が影響していないとは言いがたい。
(選択してそうなったというよりはそういう認知に歪められてしまったということ)

そう思うととてもやるせない。



10代の頃ってなんとなく、大人と付き合って対等に話せてる私ってまわりと違って大人〜とかそういう考えにも陥ってしまいがちだと思うけど、
今アラサーになった立場でこの映画見ると40代のいい大人のくせに子どもに手を出せるビルが本当に気持ち悪すぎる。。
(中学生の頃、塾講師と付き合ってる友達がいてめっちゃ大人だなって思っていたけど、それも今思うと本当に気持ち悪いし、中学生の判断能力なんてそんなもんなのだ)

自分の話になっちゃうけど、私も娘が2人いるので、どうやってこういう状況を未然に防いで子どもを守ることができるのか
親の立場になって見てしまう映画でもあった。


見ていてしんどい部分も多いけど、
グルーミングの実態について映像で見ると余計に恐ろしさを実感できるので、この機会に全ての日本人に見てほしい。
ジャニーズも似たような実体だったはずなので。
くるみ

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