Rana

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンのRanaのレビュー・感想・評価

4.7
作画がもはや芸術レベルなのでそれだけで劇場で観る価値があり、今季1番すすめられる映画作品。演出も音楽もよく気持ちよく観ることができ、作品をつくったスタッフの本気が感じられる。
ストーリーはよくある王道感動ものだが飽きさせず、何度みても感動する。何年たっても色褪せない 『名作』 だと思う。
ドルビー版だと通常版より明暗がはっきりし、細かいところまで丁寧に描き込まれていること、表現していることがよくわかる。
キャラクターの表情もとても繊細に描かれ、スタッフが心を込めて作り上げた作品だということが伝わってくる。
構成の仕方が工夫されていてみればみるほど新しい発見があったり、深い部分まで考察したくなる。 
幅広い年代、国の人に忘れかけたものを思い出させてくれるような、そんな作品だ。
多くの作品が『単なる恋愛』、『主人公の成長』ばかりを描く中、この作品は主人公だけでなく他の人物の成長や葛藤などまでしっかりと落とさずに丁寧に描いており、恋愛だけでなく『愛』そのものを描こうとしている点が素晴らしい。
戦争がもたらす影響、時代の変化、電話と手紙それぞれの良さなど、大事なことがかなりこの一作品につまっているので沢山の人に一度でもみてほしい作品だ。
映画全体がヴァイオレットからの手紙になるという構成はなかなか芸術的で美しい。

不満があるとすればテレビアニメ版からだが原作をかなり、場所によっては別物レベルに変えてしまったこと(原作完結まで既に読んでからみている)。原作がかなりよかっただけに何故と最後まで思った。レビューなどみるとたまに『ギルベルトはロリコン』などと書いている人がいるのを見かける。そもそも戦争時代、環境は平和な一般家庭と全く違いキャラクターの苦しみは原作ではかなり生々しく書かれているがアニメではカットされ、かなり展開が変えられてあの結末。小説で書かれていたことがアニメでは描ききれていない部分がかなりあり、それがもっと描かれていればそういう意見はでなかったのではと思う。展開が全く違うものであっても原作小説を完結まで読んでからアニメをみると色々思うところがあり、アニメのみの人と原作とアニメ両方の人では感じ方が変わる作品かもしれないと思った。

某作品の流行もあり隠れがちになってしまっているのが非常に勿体ないと思う。 この作品はもっと広まってよいと思うし、世界中の沢山の方に一度でいいから触れてほしいと思う。『評価されなければおかしい』それくらい思った。ここまでもっと広まってくれないかと心から思った作品ははじめてかもしれない。それくらい心が動き、世界中の人に自信をもってこの作品は勧められると思い、一度みてほしいと思った。

この作品が公開されるまでにあったことを思うと、スタッフには何と言葉をかけて良いかわかりません。この作品には、スタッフの魂が入っている、映画をみながらそんな気がしました。エンドロールで泣いた映画などはじめてでした。いつもは一作を何度も映画館でみることはほとんどないのてすが、この作品は自然にみたくなってしまい、気づいたら鑑賞10回を超えていました。公開館が少なくて知名度もそんなになくてみれていない人が本当に多いのが勿体ないと思います。 評価されてほしいと心から思った作品です
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