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劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンのFilmarksのレビュー・感想・評価

4.6
記憶があるから辛いけど、記憶があるから「人間」でいられる、「生きて」いける。思いは時間空間を超えて伝わり、受け継がれる。

TVシリーズまではまあまあよかった程度の印象だったが、今回の劇場版ではこれまでの色んなエピソードや思いがあったからこその内容になっており、TVシリーズまで遡って深く納得できた。TVシリーズの「記憶」が共有されないまま本作だけ見ても、感情移入することは難しかったかもしれない。そのようなつくりからも間接的に記憶、共有、継承の意義が分かる。

手紙は受け取った「いま・ここ」だけではなく、時空間を超えて思いや記憶が伝わり、残り、そして思い出されやすいメディアなのだと、改めて思った。

何年後にも読み返し思い返すSNSのやり取りってほとんどないだろうなぁ。自分のスマホの中の写真も他者によって思い出されることは難しい。強度のある記憶、長期的な思い出されやすさは少なくとも今はまだ手紙や現像写真など「手間のかかる現物」の方が適しているのかな。

記憶、継承、そのメディアとしての手紙というこの映画のモチーフと、京都アニメーション、スタッフの記憶、継承、そのメディアとしてのこの映画そのものとが驚くほど重なる(小説原作とのことだが)。

手紙というメディアの移ろい、劇中の時間経過など、外伝から引き続いての象徴としての電波塔の使い方が綺麗だった。

義手のデザイン、動き、音が美しい。こだわってるんだろうなぁ。

(ブーゲンビリア兄弟、それなりに距離あるし、波風の音あるだろうし、久しぶりで気まずいからってもうちょい声張らないと聞こえづらいぞというツッコミや、ホッジンズさんも飛び込んだの?空気読んでそのまま帰った?という疑問などどうでもいいくらい)素晴らしかった。

宮台真司
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」と三島由紀夫
・https://twitter.com/NewsPicks/status/1348949091674247169?s=19
・https://twitter.com/miyadai/status/1333029052760768513?s=19

長い長いエピローグ『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』レビュー
・https://jp.ign.com/violet-evergarden-movie/47343/review/?amp=1
少女兵、非対称的関係の問題
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