のらいぬ

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンののらいぬのレビュー・感想・評価

4.4
ある時は、お姫様の恋文を書き、
またある時は、歌姫の依頼で新作オペラの歌詞を書いた。
更には、有名な劇作家の舞台脚本の代筆もこなしたという。
そのドールの名は...

かつて軍人だった少女が、手紙の代筆業を通して、「愛してる」の意味を探す物語。

開始5分で号泣します。あれはずるいです。
TVシリーズを観ていなくても、劇場版だけでも楽しめるよう構成されていますが、シリーズ通して、主人公のヴァイオレットの成長を描く物語なので、是非予習してから鑑賞することをオススメします。

ラストの月下の浜辺のシーン圧巻。
揺らめく海の描写が綺麗で、泣きじゃくるヴァイオレットみたく言葉になりません。

成長したヴァイオレットを、親の気持ちで見届ける。
見終わった時、ホッジンズ社長の目線で映画を観てたんだなぁと思いました。

電波塔の完成と共に、終わりを迎える代筆業と物語。
でもそこには、新しいみちしるべを得たヴァイオレットの姿が見えてきます。

ヴァイオレットちゃん、本当に、本当に、良かったです。
過保護なくらいに、幸せを強く願ってしまいます。

かつて受付をしていたおばあちゃんは誰なのか、
良きドールの証を付けた島の郵便局の男性は誰なのか、
考察なども楽しめるかなと思います。

過去I(TVシリーズでヴァイオレットが生きた世界)、過去II(劇場版でヴァイオレットが生きた世界)、現在(デイジーが語る、ヴァイオレットが生きた未来の世界)の3つの時間軸が交錯するストーリー構成。
良い意味でも、悪い意味でも、期待が裏切られる世界観、展開かもしれませんが、こんな複雑な展開を、さらりと纏め上げるあたりが、やはり京アニクオリティなのでしょう。

かつて軍人だった少女が、手紙の代筆業を通して、
「愛してる」の意味を探す物語。

彼女が自動手記人形としてやってきたことは、
決して消えることはないでしょう。
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」
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