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凪待ちのmofaのネタバレレビュー・内容・結末

凪待ち(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

【伏線のバランスと
安堵感の無さがいい】

白石監督だから、覚悟はしてたけど、疲れる映画だったねー。
 そして、香取慎吾さんが、本当に良かった。
体が大きくて逞しいのに、なんとも、ロクでもない男そのもので。
 体が大きいからこそ、余計に情けない。本当に情けない。
 でも、本当の悪になれないから、
苦しむ。その姿が、本当に痛々しくて。



この作品の嫌なところは、
安堵感がない。
 最後の唯一の光のような場面でさえも、結局はギャンブル中毒に戻っていくんじゃないかという、一抹の不安が残り続けるのだ。
 でも確かに、それが現実なのかも知れない。
 その不安を残す香取慎吾の演技。
素晴らしかったと思う。

リリーフランキーも言うまでもない。
キャスティングを見た時点で、リリーフランキーが犯人やろーと思うくらい。
 それくらいの犯人期待度が高まってる中でありながら、すっかり、彼の人の良さに騙される!
犯人やろーと思いながら観てるのに、いざ犯人だと分かると、ビックリするんだから、ほんと、やられてしまう。
 すっごい俳優さんだなーと改めて。

ストーリー的には、多くは語らない。
誰が犯人か?なぜ殺したのか?ってキャッチコピーがあるけど、
正直、それはあまり、重要視されていない。
 あまり語らないけれど、
微妙な伏線があったりする。
亜弓がみんなのアイドル的存在だったって事や、小野寺が、何かと亜弓の世話をやいていたこと。
 亜弓の新しいお店にも、なにかと援助してたんじゃないかと。
 なんと言うか,裏切られた気分だったんじゃないかしら。
 亜弓の行きたい島の話まで小野寺にしていたんだから、
きっと、それなりの関係があったんだと推測する。
 でも、亜弓の好みからいくと、小野寺は全くのハズレだから、いいように利用してたんじゃないかな(悪いように言うとね)

 この辺りの伏線は、微妙なギリギリのラインだと思う。
 伏線をもっと濃くすれば、リリーフランキーの犯人色が強くなってしまうし、
亜弓は安っぽい女に成り下がってしまう。いい塩梅だったんじゃないかな。
 ただ、これは、伏線とは呼ばないかも知れない。あくまで、私の推理なのかも。

あと、気になるところは。
みんなのアイドル的存在だと何度も言われるほど、
亜弓にその魅力があるのかと首を傾げてしまうことと、

お父さん役は、
是非、柄本明さんにお願いしたかった。
 昔の自分を見ているようで,
救いたいと骨を折る父。
 その辺を、柄本さんにしっかり演じて欲しかった。吉澤さんでは、
何故、郁男をあそこまで助けたいのか、
納得出来ない感じで、説得力に欠けたかなぁ。
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いや、しかし。
 香取慎吾さんのドラマは色々観てきたけど、どれも、パッとしなかったんだよね。
 だから、ほんと、良い意味で裏切られたね。
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