競輪から引退してパートナーの父親の病気を介護するため、郁男は娘と共に3人で石巻に引っ越す。
だがそこで家族の口論から予期せぬ方向へ進む。
白石監督らしい社会に置ける疎外感や、アウトローの人物たちが多く出てくる。
そこから抜け出すことのない男の挫折と再生を描く。
これまで能天気な役柄しかなかった香取慎吾が社会の敗残者を演じている。
大きな体がこれほどまでに弱々しく見えるのは初めてではないか。
やはり演じる役柄と演出によって役者は変わる。
事件の犯人が誰かという観点は重要ではない。
それに犯人はすぐに見当が付くし、やはり郁男という人物がどうもがきから抜け出すのかだ。
もちろん石巻という場所を指定したのは311からの再生と掛けてもいるのだろう。
陰惨な場面もあるが、やはり人間は1人では生きていけないのだと。