どう考えても沈没する映画。
理由は「前作の上映からから40年も経っているから」。前作を（リアルタイムで）鑑賞していない人がどれだけ本作に込められた要素に気づけるだろうか。つまり本作は50歳オーバーの方をターゲットにするしかなく、しかもなんだか若作りな場面も多く、でも若年層には見向いてもらえない悲しい土壌での勝負になっている。もちろん前作を観ていない人が楽しむにはエンタメ要素が足りなすぎる。まあ私もリアルタイムでは観ていないのだが。偉大な前作を超えるわけがないという現実に悩まされながら鑑賞した。本作を観るから前作で予習した、なんてレベルの人ではよくわからんでしょう。
私の中に三つのシャイニングがあって「原作」「キューブリック版」「テレビ版」、これについて考えていくと1つの大きな矛盾が出てくる。以後私のおぼろげな記憶を頼り（少々ウィキにも頼り）に書いていく。
キューブリック版にスティーブンキングが激怒したのは有名なところだと思う。とにかく原作を無視したということ。罵詈雑言並べ立てキューブリックを非難した。そこで納得いかないキングが再度映像化するということでテレビ版が作られたという記憶がある。（このテレビ版が非常によくできていて面白い。キューブリック版しか観ていないという人はぜひ鑑賞しほしい。）キューブリック版とテレビ版を比較すると大まかには類似するものの一点において大きく差があったと思う。それは「ジャックが戻ってくるか戻ってこないか」だ。キューブリック版のジャックはどんどん狂気の世界にはまってそのままレッツゴー。ところがテレビ版のジャックは最後の直前にダニーに逃げろという。ジャックがこちらに一瞬でも戻ってくることで親子愛が成立する。原作もシャイニング（輝き・超能力）を描く土台に親子愛があり、この部分が欠落したキューブリック版にキングは激怒したのではないかと思われる。もちろん他にも気に入らない点はあるだろうけど。
だから本作が親子愛ってのをテーマにいれないってのもねえ、って矛盾。アブラとの交流がなんだか家族愛って感じなのかな。
そういえばもう少しおかしい点があるな。シャイニングではボイラーをいじってたのはウェンディだったような。テレビ版ではボイラーはジャックだけがいじっていたような。
あれ？シャイニングのテレビ版ではオーバールックホテルは爆発していたような。
ハリーポッターのようなスキャナーズシリーズのような超能力合戦はたのしめた。でもやはり沈没するしかない映画は沈没する。興行収入知らないけど悪いに決まってる。
キングさんにもう一言だけど題名もいまいち。
ドクタースリープ原作未見。
