あらすじどうこうではなく、
前作踏まえての製作背景により、
ここまで評価難しい、
作品としてややこしい映画も珍しいのではないか。
まず結論。
映画版の続編として観たらかなりの駄作。
原作版の続編として観たらかなりの良作。
有名な話だが、前監督キューブリックが作成した映画シャイニング。
これは原作者キングから酷評されている。
キング自らが再度製作に携わりドラマ版を作り直した程だ。
しかし、原作未見の方からしたらあれはまさにホラー映画の金字塔だ。
シャイニングのレビューにも記載したが、
どこぞのB級ホラーを10本観るなら、
あの上質なホラーの世界を10回堪能した方がずっと良い。
それだけ歴史に残る傑作だ。
そう、問題はここ。
原作者キングと原作派の意向を尊重せねばならぬ。
かといって映画派の期待にも応えねばならぬ。
この難問にマイク・フラナガン監督が出した答え。
それは中間。どちらともの意見を取り入れた作品へと仕上げたのだ。
結果、正直映画シャイニングがもう一度観れる!
と、期待に胸を膨らました方からしたら、
恐らく終始期待外れに終わるだろう。
なんせ前作の恐怖なぞ皆無の超能力勝負を見せられるのだから。
もし私が上記のウラ話を知らずに、
期待ルンルンで映画館で観てたら、
怒りでポップコーンを握り潰していただろう。
しかし、原作派からしたら恐らく前作では見れなかった一つの「答え」を提示してもらえた、と思うのでは。
「どっち派」などというオトナの事情を取っ払い、
一つの「ドクタースリープ」という作品のみに焦点を当てると、
ホラーとして観るとギャップを感じるし、
所々で多少のチープ感は拭えないものの、
全体的には非常に丁寧に作り込まれている。
長くなって恐縮だが、
これだけの難題に対して
製作陣が並々ならぬ熱意を持って応えたことは
十分すぎるほど伝わる。
特にクライマックス。
半端ないリスペクト。
そういった意味では、
ある意味どちらともの意向を
なんとか汲み取ろうと奮闘した監督は、
今作1番の苦労人であり、
今作1番の天才であろう。
ということで製作陣への敬意も含めて3.5。
ありがとうございました。