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海獣の子供のSUGO6のレビュー・感想・評価

海獣の子供(2018年製作の映画)
2.0
はっきり言ってバランスが悪い作品だと思った。

【良かった点】
・画力
見ればわかるが、絵の力は非常に強い。脈打つ壮大な海と躍動する魚群のスケール感には圧倒される。

・音楽
数々のジブリ作品を彩ってきた久石譲氏のシークエンスに寄り添う音楽と、米津玄師の主題歌のドラマ性。

・芦田愛菜
登場人物の中では最も上手だったと思う。抑揚も効いていてさすが。

【悪かった点】※あくまで主観
・抽象度の高いメッセージ
一言で言えば「生命とは」という所を壮大なスケールで描いているのだが、果たしてそれをどれだけの人が今映画のメッセージとして描く際に見たいのだろうか、ここが一番気になった。あくまでアート性が強く、万人受けではないわかりにくさは難点か。

・抑揚の希薄さ
ストーリーが全体的にとても静かで、抑揚が非常に薄い。最初の大きなうねりが来るまでに1時間以上かかっていて、眠くなる人がいてもおかしくな作りになってしまっている。

・真面目過ぎる
アニメーションを見る客層からすると、どこかですっと息がつける様な所がほしいのだが、一つも笑える要素がなく、一直線に真面目。

・キャラクターの魅力度
原作五十嵐大介さんの画を忠実にアニメーションに仕立て上げた所はすごいのかもしれないが、世の中一般のアニメ好きのテイストとはやはり異なるだろう。個人的にもあまり好きな感じではなかった。

・生命の表現
海と宇宙を背景に織りなす生命の神秘を描くシーンの壮大さの迫力は感じるが、そこを具体的なイメージに落としすぎることによる稚拙な感じが印象として拭えなかった(これは個人的かもしれないが)

米津玄師のMVが相当に視聴を稼いでいるものの、初週の初速を踏まえると最終的には5-7億円のレンジという所か。一昨年の打ち上げ花火同様に、主題歌がはねるからといって、必ずしも映画興行に跳ね返ってくるとは限らない(もちろん露出踏まえれば相当に効果はあったと推察するが)ということを痛感させる。
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