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海獣の子供のmitakosamaのレビュー・感想・評価

海獣の子供(2018年製作の映画)
3.6
今までドラえもん映画の印象が強かった渡辺歩監督の新作。
氏のキャリアとして代表作になったし、今後の活躍を期待させる1作になったと思う。脱ドラエモンを果たしたのはデカい!

原作はアフタヌーンに連載されてた漫画だって。僕は未読だがオクサマが読んでたので、原作との比較も含めて色々聞いてみた。
やっぱりオリジナルの漫画自体が、荒々しくて中二全開な内容らしい。

ハンドボール部のルカは、父の務める水族館にいる少年“海”と出会う。
“海”と“空”はジュゴンに育てられた子供。海中での生活が中心だったので陸上の生活に慣れていない。
狼に育てられた子供の、海洋版ってことだね。

海の世界で行われようとしている“誕生祭”なるものが開かれようとしている。“誕生祭”にはゲストが招かれる。隕石が落ちて来て、それを託される持つものがいる。
という、キーワードが揃い話が進む。

“海”と“空”を研究する、ジムというタトゥーまみれの科学者。
ジムの活動をバックアップし、“誕生祭”を何かしらの利益にしようとする企業の存在も見受けられる。

“海”と“空”とふれ合いルカも巻き込まれて行く。
基本的にとっても観念的。流れ星は精子であり海が子宮(だったかな?うろ覚え)と説明があり、地球の命の起源みたいなことの真髄に触れる内容だ。

でも基本的に説明が一切無い。生命誕生をビジュアルのみで表現するのは、2001年宇宙の旅のような壮大なスケールを感じさせる。

で、彼ら子供達の物語が観念的で抽象的なのは一向に構わない。
問題は科学者やスポンサーが物語半ばでフェードアウトすることだよ!
彼らは部外者の大人として、子供達と地球に何が起きたかを視聴者に説明するキャラクターだった筈。
「祭りを最前列で見れるな」と言っていたスポンサー達はどうなったのか?それをは説明しなきゃダメだろう。

抽象的な話だが、説明しなければイケナイ部分もボヤかされたので、どうにもモヤモヤした。これって原作でもそうだったらしい。

しかし、ペンタッチの荒さをデジタルで表現した4℃の実力は流石!
渡辺歩もこういうのがやりたかったんだろうな。今作を見て、新のび太の恐竜でのたき火のシーンを思い出したのは僕だけではない筈。

声は、ルカが芦田愛菜なんだね。結構上手い。“海”と“空”の中の人は良く知らない人。でも悪く無い。

目の大きな少年少女が伏し目がちになる色っぽさが絶妙。アニメーション自体に非常に色気があるね。
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